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タイトルGESORTING 153 気になる曲は「恋と坊さん」
記事No14
投稿日: 2008/04/29(Tue) 03:27:03
投稿者geso
[黄金週間]
 と言っても,仕事は暦どおりである.
 忙しいうえにトラブル続きで,本を読む時間が足りず,積ん読の山がどんどん高くなっていく.イライラ.

○水村美苗『私小説 from left to right』(新潮文庫 1998.初版1995)
 1963年(多分),12歳のとき父親の仕事の関係で母・姉と共に渡米.民族の坩堝米国/旧き良き幻想の日本/むしろ遠くなってしまった現代の日本...の間で引き裂かれた精神生活を送りつつモラトリアムの20年間が経ち,彼の地で一家は離散...という境遇は特殊な部類に属するんだろうけど,私性の徹底の先に普遍を見出せる,正しいデラシネ文学である.何故時代を超えて漱石とシンクロし『続明暗』を書くことができたのかが,これを読めばよく分かる仕組になっている.
 寡作なお陰で水村本は全部揃った.次は『本格小説』上下巻を読むか,辻邦生との往復書簡集を読むか...

○安藤健二『封印作品の謎』(だいわ文庫 2007.初版2004)
○同『封印作品の闇』(だいわ文庫 2007.初版2006)
 受け手の需要があるにも拘わらず流通が禁じられた「封印作品」の背景を探るルポ.
 1作目『謎』は,『ウルトラセブン』と『怪奇大作戦』の封印された回(これらは有名),映画『ノストラダムスの大予言』,漫画『ブラックジャック』シリーズの封印されたエピソード,ゲーム『O-157予防ゲーム』を,2作目『闇』は,シリーズ全体が封印されてしまった『キャンディ キャンディ』,『サンダーマスク』,『ジャングル黒べえ』,『オバケのQ太郎』を,それぞれ採り上げる.
 著者は「封印を解け」と訴えている訳ではなく,「なぜ封印されたのか」というプロセスを明らかにすることを目指している.それは,日本のムラ社会の深層,とりわけ差別構造を探ることに直結するため,しばしばタブーの壁にぶち当たることになる.
 様々な批判や非難を浴びながら,非協力的で口の重い関係者たちを取材する苦労は並大抵のものじゃない筈で,単なる興味本位でできることではない.「血を吐く思いで書き上げた」という述懐は本当だと思う.
 黒人差別が理由で封印されたという噂がある『ジャングル黒べえ』を,当の黒人が差別的と感じるかどうかを検証するために,オスマン・サンコンに実際に漫画とアニメを見てもらって感想を聞くなんてことまでしているが,「彼一人の意見を全アフリカ人の総意だと言ってしまうのも乱暴な気がする」とコメントする慎重さも忘れてはいない.
 ノンフィクション・ファン必読.尊敬に値する仕事だ.

○三才ムック vol.184『[実録]放送禁止作品』(三才ブックス 2008)
 これも「封印作品」関連だが,天野ミチヒロ『放送禁止映像大全』,同『蘇る封印映像』,石橋春海『封印歌謡大全』,同『蘇る封印映像』をダイジェストし,新規原稿を加えたもの――ということは,購入後奥付を読んで初めて知った.本書自体が,ビニールで「封印」して売られていたので,買うまでは分からなかったのである.
 安藤健二本と重複する話題もあるが,こちらは遙かに簡便な記述で,採り上げられた作品数も300超と,多い.
 実録漫画(「克美しげる伝」など)や出会い系サイトの広告等も載っていて一見キワモノっぽいけど,読んでみると結構真面目な姿勢が窺え,面白半分に作ったものではない点は,評価できる.

○さそうあきら『マエストロ 3』(双葉社 2008)
 胡散臭いけど天才的な指揮者が,潰れたオケを復活させる物語.掲載誌が途中で潰れたりして紆余曲折あったようだが,何とか完結.専門的に見れば誤りも散見するらしいが,重箱の隅を突っつくこともないと思う.
 非常によくできたドラマで,3巻完結というヴォリウムも丁度いい感じ.音楽漫画としては,人気が出すぎて終わるに終われなくなった感のある『のだめ』よりも,すっきりしてていいんじゃないかしら.
 不満は,かつてこの作者の魅力だった「不穏さ」が薄れてしまったこと.近作は概してそんな感じだが,このままでは単に「ええ話」を描く漫画家に堕してしまいそうで,淋しい.

○内田樹『街場の現代思想』(文春文庫 2008.初版2004)
 人生相談のスタイルを借りた思索の書.「敬語」「お金」「結婚」「離婚」「大学」等々,日常的なテーマで相談者の疑問にズバリ回答.書きぶりは軽いが内容はヘヴィ.ニーチェの死後一世紀経った現代の大衆=畜群は「ニーチェが思っているより「もっとバカ」だったのである。」とか断じちゃうし(そのとおりだけど).
 文系でソフィストの内田樹と,理系でリバタリアンの池田清彦は好対照の大学教授で,いずれも逆説に説得力を与える修辞があり,毒舌が芸になっているから,楽しめる――ただし,どの著作を読んでも同じだ.

[モノ皆壊れる季節なの]
 パソコン本体内蔵の120GB HDがまず死んだ.寿命だと思う.
 電源を入れると,キュカン,キュカンと,死んだHD特有の異音が響く.
 仕方ないので,値頃感がある500GBの日立製S-ATA HDをソフマップで購入.
 繋いでみたら,BIOSでも認識されない.
 どうやら,俺のマザボが旧くて,S-ATAのデータ転送スピードが合わないのが原因らしい.
 他社のS-ATA HDだとジャンパスイッチをいぢれば何とかなるらしいのだが,日立のにはジャンパスイッチ自体が付いてなくて,どうしようもない.
 仕方なく,WD社製の500GBのULTRA ATA HDと交換してもらう――バルクHDは返品がきかない原則なので,店員に渋られたけど.
 ――はい,これはBIOSで認識されました.良かったよかった.
 でも,何せブートドライブが死んでてパソコンが起動しないのだから,初期化することも当然できない.
 うちには今はサブ機がないから――MEを無理矢理XPにアップグレードした旧いビブロが1台あるけど,これも危ない異音を発してるし,レスポンスが死ぬほど遅くて,大変なストレス源になる――仕方なく,WD社製HD(裸)を職場に持参してパソコンに繋ぎ,初期化することにした.
 繋ぐのに使う手持ちのIDE→USB変換アダプタが,これまた壊れてることが分かり.ヨドバシで買い換える.全く,カネが掛かってしょうがない.
 ――漸く初期化完了.
 後は坦々と復旧作業を進められる筈なのだが,忙しくて時間がなかなか取れない.
 HDが壊れて4日後の夜,漸く作業を開始.
 壊れたHDは,パーティションを二つに切って,Dドライブをデータ用にしてた.
 このデータは別の外付けHDにバックアップしてあるから問題ないし,CとDを併せたデータも,Image Backupというソフトで丸ごと圧縮して,イメージを別の外付けHDに保存してある.
 新しいHDと,バックアップデータが入ってるHDをパソコンに繋ぎ,あらかじめ焼いてあったImage BackupのリカバリCD-Rから起動して,後は指示に従って,バックアップデータを新HDに復元する.
 ――作業は1時間超で完了.環境を復元できた.めでたしめでたし――といきたかったのだが...
 今度は,HDを4個纏めて入れてた外付けHDタワーケースが故障.電源が入らない.修理代の見積りを取ったら,12,000円弱.16,000円で購入した機器の修理代が12,000円なんてなぁ高すぎると思うのだが,買い換えるよりは安いから,やむなく発注...
 更に,それに入れてたHDの一つ(最小容量の60GB)が死んだ.これも寿命だったみたい.
 内蔵・外付け合わせて8個のHDを使ってたんだけど――データ消失のリスクを分散するのと,旧いHDを有効活用するため――そのうち2個が相次いでクラッシュした訳である.
 パソコン関係以外でも,ギター用マルチエフェクタが故障.フットスイッチが反応しない.これも今修理代見積り中.安くはないだろう...
 モノ皆壊れゆくのに加え,仕事でもトラブル続出.裁判に巻き込まれて,準備書面を書いたり出廷したりしなきゃいけなくなって,面倒なことこの上ない――こっちは素人なのに.
 非常に憂鬱だが,まー,逆境は逆境として楽しむしかないね.
 今は未だ書けないが,落ち着いたら――いつ落ち着くのか分からないが――経緯を書いてみたい.

[あの頃,マーク=アーモンド]
 急にMark-Almond――ソフト・セルじゃなくて,元スウィート・サーズデイの方――が聴きたくなって,30年ぶりにレコードを引っ張り出した.
 ...やっぱり良いものは良い.
 優れたシンガー=ソングライター/ギタリストであるジョン・マーク――確かに「楽曲はサイコー/歌詞はサイテー」(大里俊晴 談)だけど――とマルチ管楽器奏者ジョニー・アーモンドの双頭バンドである.マークの声はロバート・ワイアットにちょっと似てる.
 後にAORと呼ばれる音楽に近いようだが,それは後付けの分類に過ぎない.大雑把に言えば,根っこに英国臭さが漂う憂鬱で静謐でジャズィなフォーク.
 1枚目『Mark-Almond』(1971)も悪くないけど,ダニー・リッチモンド――ロリンズの所の人が何で?――が加わってからの2枚目『Mark-Almondn II』と3枚目『Rising』(共に1972)が良い.
 2枚目の印象が浅川マキの2枚目に意外なほど似ているのは,曲調とフルートの使い方が似ている曲が複数あるせいかしら,同時代性を感じる.発表年はマキの方が一年早いが.
 3枚目はレコード会社を移籍しての再出発盤.ベストトラックは,マークじゃなくてケン・クラッドック(ピアノ)がヴォーカルをとった地味な佳曲 "I'LL BE LEAVING SOON" であろう.
 4枚目の『Mark-Almond 73』は,片面ライヴ・片面スタジオという中途半端な構成と,ダサいディスコ曲なんかが入っているところが今イチである.
 その後グループはいったん解散.
 再結成後の4枚目『To the Heart』(1976.未聴.今やAmazonで80,000円超!)と5枚目『Other Peoples Rooms』(1978)は,以前のアルバムよりは売れたみたいだが,最近漸く聴いた5枚目の感想を一言でいえば「洗練は堕落」――極端に詰まらない.1枚目に入ってた "City" をリメイクしてるけど,何よ,この腐ったスティーリィ・ダンみたいなアレンジは... がっかり.
 因みに,ジョン・マークの1枚目のソロ『SONGS FOR A FRIEND』(1975)も,楽曲自体はいいんだけど,無駄にゴーヂャスな管弦楽が,ある種の歌謡曲顔負けの臭さでいただけなかった.歌詞も相変わらず駄目だし...
 要は,マーカモは2枚目と3枚目だけでいいということですね(ついでに1枚目).

[ブコーフ]
 東京23区内で最大だったブックオフ原宿店が去年9月に閉店していたそうで,ガッカリなんだけど,4/26秋葉原駅前に「23区内で最大」という触れ込みで新店舗がオープン.早速翌日行ってみた.
 地上6階建てのビル丸ごとブックオフってのは,確かにデカいんだが,床面積が大したことないので,余り広い感じはしない.原宿店の方が広かったと思う.
 まぁ,それでも現時点では最大ということなのだろう――東京全域で言えば,一番広いのは町田店だが.
 品揃えは,まぁまぁ.
 取り敢えず佐藤哲也『イラハイ』(新潮文庫)とスタンリイ・エリン『闇に踊れ!』(創元推理文庫)を,各105円で購入.

2008.04.29 GESO

タイトルRe: GESORTING 153 気になる曲は「恋と坊さん」
記事No15
投稿日: 2008/04/29(Tue) 13:24:44
投稿者あかなるむ
 このところ、頭の中でスプートニクスが鳴り続けているのは、ソユーズが墜落しそうになったからでしょうか。
 HDのトラブルはご愁傷様ですが、「データ消失のリスクを分散するのと,旧いHDを有効活用するため」という部分、古い(信頼性の低い)ものを使ってもリスク分散にはならないのでは…とツッコミ。それにしても裁判とは。仕事がらみとのことなので、詳細は聞きませんが。

 私もこのところ読書はせず(本も買っていないので積ん読ですらない)。15日ぐらいから桜の開花が始まったので、連日花見と称して飲み歩いていたもんだから。連休はアルコールを抜いて、おとなしくすごそうかと思いつつ。

タイトルRe^2: GESORTING 153 気になる曲は「恋と坊さん」
記事No16
投稿日: 2008/04/29(Tue) 16:28:13
投稿者geso
> 頭の中でスプートニクスが鳴り続けている

CD-Rそろそろ届くこととと思います.2枚組ベストで56トラックも入ってるんで,うんざりするほど楽しめることでしょう.
ライナー等のデータはSDに入れて同包しといたので,見逃さないよーに.

>古い(信頼性の低い)ものを使ってもリスク分散にはならないのでは…とツッコミ。

あ,その辺のHDは,容量が足りなくなって買い換えたものばかりだから,そんな古いという訳でもないです.
動画データと音声データに分けて,それぞれミラリングするみたいな感じで使ってました.

S.M.A.R.T情報からHDの健康状態とか寿命を計るソフトってあるじゃないですか.
俺はHDD Healthを使ってたんだけど(無料だから),今回のクラッシュは予測できなかったので,あまり当てにならない気がしましたね.

本を買うのは控えようと思いつつ,今日も既に『チーズスイートホーム 5』『猫本 2』『少女ファイト 4』と,漫画ばかり3冊買っちゃいました.続きものだから仕方ないね...と自分に言い訳しつつ.

2008.04.29 GESO

タイトルRe^3: GESORTING 153 気になる曲は「恋と坊さん」
記事No17
投稿日: 2008/04/30(Wed) 09:18:14
投稿者あかなるむ
 CD届きました!
 たしかに「うんざりするほど楽しめそう」。ボタンとリボンまで入っているし…。
 で、メンバーのかぶっているヘルメットがバカでかくて笑える。StarWarsのパロディ映画に出てきた「ヘルメット卿」を思い出してしまった。

》HDは,容量が足りなくなって買い換えたものばかりだから
》今回のクラッシュは予測できなかったので
 そうでしたか。今読み返してみて、連続クラッシュの原因はタワーケースの電源電圧不安定?と思ってしまいました。

マンガ、最近田丸の「レイモンド」を買った。あはは