タイトル | : GESORTING 162 『黒衣の花嫁』も買いました |
記事No | : 78 |
投稿日 | : 2009/02/05(Thu) 23:29:22 |
投稿者 | : geso |
[スープはさめる] と言えば吉岡実の詩ですが(『静かな家』(1968)所収),寒い日に外を歩いてて熱いコンソメスープが飲みたくなることって,あるでしょう――ない? それなのに,あれだけそこらじゅうに立ってる自販機のどれ一台としてコンソメスープを扱ってなくて,スープといえばヌルくて甘いコーンポタージュだけというのは,何故なのか? つい最近,コーンポタージュに加えてクリームシチューがある自販機を見掛けたけど,シチューはちょっと違うし. 因みに,一部漫喫の自販機にはオニオンスープがある.あれはややしょっぱいが,熱くてそこそこ旨い.けど,缶入りじゃなくてカップに注ぐタイプだからなのか,屋外の自販機にはやっぱり置いてない.
[気が付いたらもう2月] 1月のうちに買った本の冊数を数えたら,34冊あった(雑誌を除く).大半が安物とは言え,これはちょっと買いすぎではないかと反省を求めているところ――自分に. 買った本の他に実家から持ち帰った本や借りた本も10冊以上あり,深刻なのはカネよりもスペースの問題である.積ん読の柱と段ボールの山が並び,部屋にはもう足の踏み場がなく... 今月は抑えようと思いつつ,買った本はもう8冊.確実に買うつもりの新刊は少なくとも2冊.全然反省してない.
○梅吉『一杯では終われません』(講談社 2008) 全編版画による唐沢なをき『怪奇版画男』(小学館 1998)には驚かされたが,本作もそれに匹敵する,誰も敢えてやらない手法――全編切り絵――による「漫画」.ネームも切り絵だから,全部繋がってる.何でまたこんな労多くして功少ないことを... ケル・メチエ! 内容は,全国の酒蔵を探訪し,ひたすら呑みまくるだけのルポだが,ペンならぬデザインナイフを握って作業してる間だけは,さすがに呑むのを我慢するらしい. 二ノ宮知子(『平成よっぱらい研究所』『飲みに行こうぜ!!』),浜口乃理子(『酒とたたみいわしの日々』),あっきう(『どこまで呑むの?』),いのうえさきこ(『倒れるときは前のめり。』)といった,酔いどれ漫画家(♀)の作品の系譜に属する――のか? 作者は「酒の旅は終わりようがない」と宣言しているが,『一杯では終われません』自体はこれ1冊で終わりということで,残念. 上記の酔いどれ漫画家たちも,いのうえ以外は戦線から離脱したようで寂しいが,まぁ「体が資本」主義でいかなきゃね.
△海堂尊『チーム・バチスタの栄光』(宝島社 2006) 漸く読む機会を得た.確かに新人のデビュー作とは思えぬ達者な出来.直ちにとは思わないが,安くなったら続編も買って読みたい. 現役の医師でミステリ作家という方々は,皆さんそこそこに巧い.ヒューマニズムの帚木蓬生,ニヒリズムの久坂部羊,エンタメの海堂尊てな感じで,棲み分けもうまいこと為されてるみたいだ. この中で一番社会派というか実践家なのは実は海堂で,自ら積極的にメディアに顔を出して「Ai(死亡時画像診断)」の重要性と医療制度への導入を訴え続けている――俺も一度ラジオで聞いた. それにしても,3年間で単行本11冊刊行という海堂の速筆ぶりは,往年の森博嗣に匹敵する.多作して質が落ちてるかどうかは,追々検証したい.
○佐藤優『国家の罠』(新潮文庫 2007.親本2005) ○同『自壊する帝国』(新潮文庫 2008.親本2006) 『国家の罠』は,確かベストセラーだった.傷んでて105円だったのを幸い,ブクォーフで購入. 背任容疑と偽計業務妨害容疑で鈴木宗男に連座して2002年に逮捕された現 起訴休職外務事務官による,保釈までの512日間に及ぶ勾留生活の回想録. いわゆる「佐藤優バブル」が峠を越した(のか?)この時期にゆっくり読むのもいいかと思い読んでみたら,無茶苦茶面白いじゃないですか! 何の予備知識や先入観もなく読んでも確実に楽しめる「文学」である. 佐藤はかなり複雑なキャラクターの持ち主だが,筋金入りの愛国者であり,外務省時代の行動原理が「国益最優先」だったというのは,格好つけてる訳じゃなく,本心だと思う. 愛国者というのは,国との一体感を持ち,かつ,それに快感を覚えている個人のことだ――と俺は理解している. 国への帰属感を持てない俺には愛国心は持ち得ないが,一本筋が通っている愛国者にはそれなりに敬意を持てるし,彼らが国益を優先するのは当然だろうとも思える. 佐藤にとっての国益とは,国家主義――愛国主義が個人主義を超えて政治化したものだ――的な国益である. 近視眼的には国益に結び付かなくとも行く行くは国益に資すると思われる行為とか,一見権謀術数にしか見えなくとも実は外交ルールに適っているような行為が,大衆の目にはむしろ国益に反する行為に見えたとしても不思議はないけれど,佐藤のようなラジカルな国家主義者は,大衆に迎合することなく,自らが信ずる大義のために国益に資すると考える行動をとる. しかし実のところ,国益は,いつ/誰によって,国益と認定されるのか? 結局,いつ=政治的な節目 に/誰=国家権力 によって...だと思う.何を国益と見なすかは,その時時の国家権力の判断次第で変わる筈だ. ポピュリズムが強まった小泉政権下では,鈴木・佐藤らのラジカルな国家主義は目障りな存在となってきたために,国家権力は「国策捜査」によって彼らを斬り捨てようとしたのだろう. 本書に学ぶ点は多いが,個人的に興味深かったのは,利害の対立する相手とコミュニケートする方法が示唆されているところである. ただし,対立しているだけで尊敬に価しないような相手とは,まともなコミュニケーションは成立しえない. 拘留中,佐藤は良い敵=担当検察官を持った.この敵との攻防は,本書の読みどころの一つである. 「きみたちは、憎むべき敵たちだけを持つことが必要であって、軽蔑すべき敵たちを持ってはならない。きみたちは自分の敵を誇りとしなくてはならない。その場合には、きみたちの敵の成功は、きみの成功でもあるのだ。」 というニーチェの言葉がしっくりくるような,「敵」. 『国家の罠』への予想を上回る反響に応えて書かれた2作目『自壊する帝国』は,佐藤が青年外交官として駐留した「崩壊」前後――1987年〜1995年――のソ連時代の記録である. 生々しい政治ドキュメンタリーとしても,「瓦解するソ連を舞台としたビルドゥングス・ロマン」(恩田陸の解説)としても楽しめる,こちらも傑作だ. 佐藤のこの最初の2作品は,読んでも決して損はない. 残念ながら,その後は粗製濫造気味で,どうかと思われる内容の本も多いようだが...
△ジョン・ダニング『失われし書庫』(ハヤカワ文庫 2004.原著 2004) △同『災いの古書』(ハヤカワ文庫 2007.原著 2005) 元警察官の古書店主クリフ・ジーンウェイ――こいつは正義感は強いが,ジャック・バウアー並みに短気で喧嘩っ早い――を主人公とするシリーズの3作目と4作目. 歴史ミステリ風味の3作目,「著者サイン本」の世界を扱った4作目と,一作毎に変化を持たせつつ高水準は保っているけれど,1作目と2作目の面白さには及ばないのが残念である. 4作目は今までで一番「絵」になりやすいサスペンス作品だが,いきなり4作目から映画化されることもないだろうし... 米国古書業界について語られる蘊蓄がこのシリーズの読み所であるが,この2冊が書かれたのは既にインターネット時代に入ってからである. 主人公(≒作者)は『災いの古書』の中で,例えばこうボヤく. 「インターネットの急速な発展が、大きな変化をもたらすことになるだろう――後に、そのとおりになった。誰でも瞬時のうちに、驚くほどかんたんに知識を手にすることができる。しかも、その知識を深めることなく「専門家」を気どることができる。本は金と同じ意味になりさがり、そうした風潮が小売商や一攫千金を狙う掘り出し屋を駆逐してしまうだろう。 「この新しいすばらしき本の世界で、本屋の主人は自由に振る舞うことができなくなる。一冊のとても高価な本があれば、それを買い付けようとする数人――いや、それ以上のこともあるだろう――の古書店主が手を結び、売れたさいには、儲けを等分する。(中略) 「本屋が閉店に追い込まれるのも目に見えている。本を売る側も世知辛くなっていくだろう。膨大な数の本を買い付ける能力は退化し、やがて失われる。商売が進化すれば、それだけ抱え込む問題も大きくなる。コンピュータを使えば、価値のある本がどこにあるかすぐにわかり、本を探し求めるスリルは、急速にしぼむ。」 なるほど,フラット化する世界って訳だ.実際,作者自身,古書稀覯本専門店を畳み,現在はネット書店に絞って営業しているらしい(http://www.oldalgonquinn.com).
○原宏一『かつどん協議会』(幻冬舎文庫 1999.親本 ベネッセコーポレーション 1997) デビュー短編集.古本を180円で入手してラッキー!と思ったら,その直後に集英社文庫版が新刊で出た. でも,新文庫版は,本文に加筆訂正はないし解説は旧文庫版の方がいいので,買い直しはせず. 旧版の解説は香山二三郎で,原 作品を「筒井康隆のハチャメチャSFから東海林さだお、山下洋輔、あるいは椎名誠等のスーパーエッセイを経て清水義範のパスティーシュものへと至る一連のスラプスティック系エンタテインメントの流れを汲んでいる」と評しているのは的確だが,その後に続く「その正統的後継者として、あるいは独自の風刺作家として、恐らくこの人は今後急速に売れっ子になっていくに違いない」という予想は見事に外れ,出す本は悉く初版絶版,その後長いこと鳴かず飛ばずだった. 一時は小説家廃業まで考えていた彼が売れるようになったのは,第3短編集『床下仙人』(祥伝社文庫 2001.初版 1999)を2007年に初めて読んでいたく気に入った有隣堂ルミネ町田店店員 渋沢良子が,この文庫版を自作ポップで懸命に宣伝し,版元の祥伝社に掛け合って重版まで実現させたお陰...というのは有名なエピソード. 貫井徳郎『慟哭』の創元推理文庫版(1999)を派手な書店ポップで売りまくった梅原潤一も確か有隣堂の店員だった.有隣堂には熱い店員が多いのか? 因みに,『かつどん』新版の解説はイッセー尾形だが,原を「日本のカフカ」と評する内容で,どうもピンと来ない.
○一条ゆかり『プライド 10』(集英社コーラス 2009) ○日本橋ヨヲコ『少女ファイト 5(特装版)』(講談社プレミアムKC 2009) 目が離せないシリーズものなので,出たら即買ってしまう. 『プライド』は,映画版がもう公開中だけれど,安っぽそうなので未見.神野=及川光博は適役だと思うが. 『少女ファイト』は,5分ほど逡巡した後,特典ドラマCD付きの特装版を購入.CDは全巻読み返してからじっくり聞きたい.
○天野節子『氷の華』(幻冬舎文庫 2008.親本 2007) 傲慢で頭脳明晰な美貌の悪女と,地道に足で捜査するが直感力の優れた刑事の知恵比べ. テレビの2時間サスペンスドラマを思わせる設定は陳腐だが,これがなかなか侮れない.プロットは細部まで練り上げられているし,伏線の張り方も見事で,デビュー作なのに職人技を感じさせる佳作. 作者は1946年生まれだから,還暦を過ぎてからのデビューということになる.沼田まほかる(1948年生まれ.2004年小説デビュー)や秋元順子(1947年生まれ.2005年レコードデビュー)と並んで頼もしい姐さんである.
×歌野晶午『世界の終わり、あるいは始まり』(角川文庫 2006.親本 2002) 同じ作者の『葉桜の季節に君を想うということ』(2003)を読んだときと同様,読者を嘗めた小説だと感じたが,世間の評価も業界の評価もなぜか高いらしい.『葉桜』など,日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞をダブル受賞したくらいである. 解説の笠井潔に言わせると,本作において(主人公が,ある)「恐ろしい可能性を抱えこみながら、決定不能性の明るい地獄を生き続けること。この不気味な宙づり状態こそ、どのように足掻いても逃れることのできない生の条件ではないのかと、作者は語ろうとしている」のであり,「近代的な主体性、人間性、内面性という」「十九世紀的な」領域に逃げこまずに「探偵小説形式を二一世紀的な水準に飛躍させるため」に不可欠な「先駆的な実験」であるらしい. 非常にブンガク的かつ過大な評価だと思うが,結局,20世紀中にいろいろ試してみたけれど解決できなかった問題が,21世紀に持ち越されているだけのことじゃないのか? 今世紀中に解決できるかどうかも疑問だが,まぁ「近代的人間」が消滅すれば,問題自体も消滅,文学も消滅して,めでたしめでたしなんでしょうけど. さて,どう説明してもネタばらしに繋がりそうで具体的なことを書けないのが苦しいが,本作がもしSFとして書かれていたなら,別に問題ないというか,むしろ凡庸な作品になっていただろう.ミステリとして書かれたがゆえに,笠井は評価するのだろうし,俺は評価できない. 「本格」「新本格」「超絶」「脱」「バカ」「セカイ系」「ポストセカイ系」等々,何を冠したものでも構わないが,ミステリはそもそも作者があるルールに則って読者を「騙る」ゲームである――そこが嫌いという人もいれば,好きという人もいる訳だが. 俺にとってミステリは騙されることが快感に繋がる唯一の分野だから,精々気持ちよく騙して欲しい.歌野作品が不快なのは,結局,騙し方が下手なうえにアンフェアだからである――俺にとっては.
△日本推理作家協会編『日本ベストミステリー選集 No.13 戦慄のプログラム』(光文社文庫 1992.親本『生首コンテスト』1984) 湯島図書館のリサイクル本で入手したもの. 「幻影城」の終刊(1979)と新本格ブームの始まり(1987頃)の間がミステリの空白期だったという訳ではないが,本アンソロジーに収録された作家の顔触れ――阿刀田高・大谷羊太郎・海渡英祐・日下圭介・佐野洋・都筑道夫・辻真先・伴野朗・西村京太郎・三好徹・森村誠一・山田正紀・山村正夫・山村美沙――を見ると,山田正紀以外は殆どプロパーのミステリ作家で,当時でも既に長老格の人も入ってるくらいだから,やはりめぼしい新人は少なかった時期なのかも知れない. 森村作品と山田作品はホラー色が強くてやや浮いているが,他はベテランの職人仕事といった趣で,大傑作はないものの,粒は揃っているという印象. むしろ,巻末の石川喬司・中島河太郎・山村正夫による「ミステリー鼎談――多様化時代のミステリー」が,1984年当時の状況を窺える点で史料的価値が高いと思う. この鼎談を読めば,特定の作家の作品しか読まないというファン層が既に出現していたことや,一方で作品群の多様化がどんどん進行していたことが分かる.女流作家がこれから増えていくという予測も的中しているし,山村による締めの言葉「貪欲にありとあらゆる分野の小説を、全部ミステリーのなかへ包含していってしまうような、そういう方向へいきつつあるといえるんじゃありませんか。」も,そのとおり実現した. つまり,ミステリの流れは当時からあまり大きく変わってはいない,ということなのか.
この調子で感想を書いてくと切りがないので,後はメモ. 折原一『行方不明者』(文藝春秋 2006)・同『叔父殺人事件 グッドバイ』(講談社文庫 2008.親本 原書房 2005)は,いつもの調子だが楽しめた.騙し一直線でも歌野に較べて全然フェアー. 古典も読もうと思って読んだウィリアム・アイリッシュ『幻の女』(ハヤカワ・ミステリ文庫 1979.原著 1942)は,今ではご都合主義に見えるが当時としては新鮮なプロットだったんだろう/江戸川乱歩の本作への思い入れの強さに感銘.
[映画・DVD] ×スティーヴン・ソダーバーグ 『チェ 28歳の革命』(2008 西・仏・米) ベニチオ・デル・トロは好きな役者だし,役作りのために25キロだか減量した意欲は大したもんだと思うが,ゲバラを演じるには体形的にも年齢的にも無理を感じた――どう見ても本物の方が格好いい訳で. 監督も好きになれないソダーバーグで,その好きになれないところが全開.国連演説や米国のテレビ番組出演をドキュメンタリーっぽく撮った映像――実際のドキュメント映像を基に「再現フィルム」を演じたものだろう――が,本物らしくとすればするほど嘘っぽく見えてしまうという皮肉. そもそも,ゲバラが革命に身を投じるに至った経緯が全く描かれていないので――その辺りは『モーターサイクル・ダイアリーズ』(2004 英・米・メキシコ他)を参照ってか?――説得力が感じられず,地味な行軍シーンとまったりした戦闘シーンばかりだったという印象しか残らない. こんな偽ドキュメンタリーを作るよりも,フィクションを混ぜて構わないから,スカッとした活劇にした方がプロパガンダ映画として正解だったと思う.
松山ケンイチウォッチング継続中. ×井口奈己 『人のセックスを笑うな』(日 2008) 山崎ナオコーラの原作は未読だが,ホンポーなヒトヅマ(永作博美.昔だったら秋吉久美子が演じそう)とジュンジョーなセーネン(松山ケンイチ)の短期燃焼型恋愛を描いた凡庸な映画. 舞台が地方の美術専門学校で,20歳離れた講師――アーティストでもあるらしい――と生徒の関係であるという設定/本当は松山が好きで永作に嫉妬しつつも二人の恋愛成就の手伝いをしてしまう幼なじみ(蒼井優)の存在/全体を悲劇ではなく人生の一齣としてマッタリ描く手法 等によって類似作品との差別化が図られているが,結局どうということもない作品.松山の演技も地味で,見終わったらすぐ忘れてしまう.
(総じて)△脚本 木皿泉 他『セクシーボイスアンドロボ』(全11話.日本テレビ 2007) 黒田硫黄は嫌いなので,原作漫画は未読.遠くの小さな音まで聴き取れることと誰の声でもそっくりに真似できるという特技を持つ中学2年生ニコ(大後寿々花)と,ロボットオタクの24歳サラリーマン ロボ(松山ケンイチ)のコンビが,謎のボス マキ(浅丘ルリ子)の指令で怪事件・珍事件の調査や解決に当たるという趣向の,連続テレビドラマ. 現実の人質立て籠もり事件とシンクロしたせいで放送休止となった第7話がほのぼの人情劇っぽかったのと,唯一前後編構成だった第8話+第9話が際立って暗いトーンだったのが印象に残るが,全体としては他愛ないコメディー. ここでの松山の演技は,まるっきり藤井隆ふう.ドタバタを演じてる割には,印象に残らない.
?『銭ゲバ』(放映中.日本テレビ 2009) 久々に映像化された『銭ゲバ』は,案の定 平成格差社会版だったが,基本的にはピカレスク・ロマンであり,社会派ドラマという訳ではない――筈だが,どう展開するか? まだ3回しか放映してないけれど,銭ゲバ=蒲郡風太郎(松山ケンイチ)は,既に3人を殺している.初の悪人役だと思うが,やはり彼はこうした極端な役の方が生き生きして見える.確実に女性ファンを減らすであろう汚れ役――共演の椎名桔平もサイテーな父親役なので同様――を敢えて演じることは,役者冥利に尽きるだろう. それにしても――原作でもそうだが――風太郎は,一見頭脳犯に見えてひどく脇が甘い.これが現実なら,すぐに犯罪が発覚して捕まる筈なのだが,不思議に捕まらない.もとより無茶苦茶ご都合主義的なジョージ秋山原作だから,割り切って楽しめばいいんだろうけど.
他に『バットマン』『バットマン・リターンズ』『ルドルフ 赤鼻のトナカイ』等をDVDで観た.いずれもそこそこ面白かった.『バットマン』のジャック・ニコルスンは楽しそうだったな. 久々に観た芝居は蜂蜜劇場『水びたし』.役者のキャラはそれぞれ良かったけれど,脚本がどうも今一つ... 中途半端だけど疲れたのでこれにて終了. 泡坂妻夫が死んじゃった(涙)...
2009.02.05 GESO
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