タイトル | : 2001/01/28■042 スパークス来日 |
記事No | : 142 |
投稿日 | : 2013/10/05(Sat) 10:08:51 |
投稿者 | : 管理人 |
[スパークス来日(興味のない人は読み飛ばすように)] 四半世紀待ちわびたスパークスの来日公演が遂に実現! ということで,1月24日渋谷クラブクアトロへ. 言わずもがなのことであるが,スパークスは作詞作曲編曲鍵盤演奏担当のロン・メールと歌担当のラッセル・メールから成る(変態)兄弟ユニットである.初期はギターバンド形態を採っていたが,紆余曲折を経て現在は女性ドラマーを加えたトリオ編成. 聞いたことのない人に彼らの音楽を説明するのは難しいが,俺に言わせれば,過激な幼児性を持ったシンプルでひねくれたダンス音楽といったところである.ダンスといってもリズム的には古いし(一貫してミュンヘン・ディスコ・サウンド),(特に初期の曲は)インスト部分がひどく少ない歌ものなので,今時のクラブシーンでは受けそうにないわけだが. ロンの嫁になりたいフジモト嬢と,同じく養子になりたいワタナベ氏の濃ゆい会話を聞きつつ,開演を待つ.ファンクラブの中には,スパークス以外の音楽は一切聞かない奴もいるという.怖い世界である. 入りは1,000人まではいかないが,900人くらいまでいったんじゃないだろうか.ほぼ満員.前々日の大阪クラブクアトロのライヴには300〜400人しか入らなかったそうで,関西のファンは何をやっておるのか. 客の年齢層は高い.優に30歳は超えてるみたいだ.若い人には受けてないんだろうか――受けてないんだろうな.殆どがコアなファンと思われる. 前座のサロンミュージックについては何も言うまい.客からのブーイングも,可哀想だが仕方ない. 対バンなど不要だと思うが(大阪はワンマンだったそうで羨ましい),敢えて出すならPOLYSICSかヤプーズあたりでしょう,とワタナベ氏.俺はモー娘。がいいと思った(マジで).ミニモニ。でも可. さて,スパークスである. オープニング・テーマ"Spark Show"のテープに合わせて,ワイシャツにネクタイのロン・メールが妙な踊りを踊りつつ登場,舞台上手のiMacとキーボード(背面に黒地に白の「Ronald」のロゴ(紙を貼っただけみたい)の入ったもの)の前に立つ.続いて横縞のTシャツ(だったかな?)の何だか地味なタミー・グローヴァーが,舞台下手の通常のドラムセット(これまたバスドラに「Ronald」のロゴ)の前に.最後にハンドマイクを持ったラッセル・メールが,タートルネックのセーター姿で舞台中央に登場.背景は数十個の白い風船を積み重ねただだけという,シンプルというか,安いステージである. ライヴ1曲目は予想どおり新譜から,タイトル曲"Balls".無難なところであろう.で2曲目,往年の名曲(全部名曲だが)"Something For The Girl With Everything"が始まったとたん,会場の興奮はいきなりピークに達する.フック部分は拳をあげての大合唱(俺もやっちた).その後何曲演ったのか数えてないが,ノンストップで20曲近くか.ファンをやめてた時期の知らない曲もいくつかあったが,殆どはお馴染みのナンバーだった.人気曲はやはり皆で大合唱.オールド・ファンとしては,当日の演目の中では珍しく原曲のアレンジとの差異が大きかった"Hospitality On Parade",ラスト・ナンバーの"This Town Ain't Big Enough For Both Of Us",最初のアンコールで演った"Amateur Hour",2回目のアンコールで演った"The No.1 Song In Heaven〜Never Turn Your Back On Mother Earth"のメドレーあたりが,涙ものであった. ドラムス以外は全て打込みだったが,殆どが原曲に忠実,完璧なカラオケという感じ.だが,打込みだから乗りが悪いということは全くない.恐らくロンは昔から,通常のバンド形態で演るよりもこうした形で演りたいと思っていたのだろうと推測する.機材が揃ってそれが可能になり,彼にとっては理想的なライヴ環境が実現したのではないだろうか――CDのセールスは余り思わしくないだろうけど.シンクラヴィアを入手してはしゃいでた頃のザッパを想起した. 打込みの形で蘇った往年のナンバーを聞いて,ジャーマン・ロックとの親近性を再確認,ジョルジオ・モロダーとの接近から今日に至る流れが何となく納得できた気がする.違いは,ロンはメロディー・メーカーとしてドイツ勢より遙かに優秀という点だな. ステージングについて. 屍蝋化したトニー谷みたいな長身痩躯のロンは,格好いいの一言.無表情に宙の一点を見つめ,一言も喋らず,最小限の動きしかせず,汗一つかかない.それだけに,ときおり見せる狂騒的な馬鹿踊りは爆笑ものである.彼は昔から老けているので,全く老けた感じがしない.52歳だとか. 対して,ぴょんぴょん飛び跳ねながら熱唱する小太り中背のラッセルは,昔年の美青年の面影が失せ....ちょっと汗かきすぎだ.でもファルセットは健在. タミーは普通に可愛いお嬢さんだが,正直なところなぜ君はここにいるの?と思わざるを得ず. 結論としては,久々にミーハー気分を満喫できて,満足のゆくライヴだった.近いうちにまた来日すると最後にラッセルが約束してたから,また観に行くしかない.今度は東京以外も観に行きたい. でも,俺が一番好きなナンバー("Equator","Without Using Hands","I Like Girls"あたり)はきっとライヴじゃ演らないだろうな.そんな気がする.
[ソニーで怒る(続き)] 前回ソニー製品への不満を書いたら,RES5名.ソニーだけじゃなくてビクターもひどいとか,アイワ(ソニーの子会社や)の方がましだとか,いろいろ意見はあったが,結論としては,やはり今のソニーは駄目みたい.初期不良が多く,壊れやすい.新製品への買換えを促すためにわざとそうしているのではないかという疑いもある. ソニーですらそうなのだから,他のメーカーも推して知るべし.アイワはまだましだというが,俺が前に使ってたミニコンポなど,しょっちゅう同じ所(CDのチェンジャー部分)が故障して,修理代がかさんだ挙げ句廃棄した.丈夫なものは丈夫らしいから,個々の製品にバラツキがあるということだろう.それはそれで駄目だ.デザインはダサイし. 80年代「産業の空洞化」なんて言われ始めたあたりからこの方,日本の「ものづくり」の力が衰退しているのは事実で,その傾向はこの先も続くことだろう. 何もかも駄目になっていく.結構なことである.爽快.
2001/01/28 GESO
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