[リストへもどる]
一括表示
タイトル2003/08/31■094 海猫
記事No194
投稿日: 2013/10/05(Sat) 14:33:12
投稿者管理人
[おっと]
 鬱陶しい高校野球が終わって清々したと思ったら,もう9月じゃない.あーーっという間に数か月経ってしまったわな.この間,イラク戦争は実質終結せず,行き付けの漫画喫茶(漫画喫茶を「マンキツ」と略すのはいかがなものか)は潰れ,白ずくめ集団は通り過ぎ,2回やったライヴは不出来,SARSはなぜか日本では猛威を振るわず,イラク支援特措法は成立し,阪神はまさかの優勝目前,北朝鮮との関係は悪化の一途,仕事は忙しく,パレスチナ問題はまたも泥沼化,スーフリはパクられ,子供らは虐殺され,煙草は値上がりし,肌寒い夏は終わり,今日は臨時出勤して職場の引越しであった(プチ都落ち.こんな時代やさかい).概ねろくなことなかったなぁ....
 以下,俺の上を通り過ぎて行った物事のメモランダム半分強.6月以前のことは忘れた.

[ライヴとかイヴェントとか]
 第3回「詩のボクシング」全国大会(7/12霞ヶ関 イイノホール)×(「詩」や「朗読」自体の巧拙じゃなく結局キャラで勝負が決まる点でコンテストとしてレベル低いがお祭りとしてはいいんだろうよ.だが優勝した本田まさゆきには韜晦的なあざとさを割り引いても流石に優勝するだけの資質あり.準優勝の亜子米(アコメ?何だそりゃ)には全くいいところなし)/独火星公演『九龍の蛆虫ども〈第2部〉虚無への供物』(7/12中野 光座)×(メリハリもカタルシスもなく台詞のみ過剰)/倉地久美夫ソロ(7/16高円寺 円盤)○(高揚してる割に気の抜けた演奏だったもののソロが一番)/シェシズ(7/21吉祥寺 曼荼羅U)○(ここ数年で最高の演奏と思ったのはドラムスが高橋朝だった点によるところ大.ゲストの山崎春美が十代時分の痙攣パフォーマンスを自己模倣する様は率直に言って醜悪だが敢えてそれをやる臆面のなさをこそ評価すべき?まさかね)/「PSYCHEDELIC EXPLOSION vol.44」(7/19梅島 ゆうことぴあ)チヨズ△・共演者印象なし(この企画にはよく呼ばれるが常に場違いな感じ.それはいいとしてもミス多くて駄目)/「変身キリンCD発売記念ライブ」(8/3吉祥寺曼荼羅II)サボテン○(変わらぬギコシャコフレーズ.レイ・シャルマンとゲイリー・グリーンのスタジオ練習風景(そんなもん見たことないが)みたいな曲も)・コクシネル△(ファンは戸川純+中島みゆきみたいなあのヴォーカルさえあればいいのだろうが打込みには馴染めず.スラップ・ハッピー『サ・ヴァ』初聴時のような軽い失望)・須山+大熊+小間+関島○(変キリナンバーを室内楽っぽくカヴァー.古い酒を新しい革袋に入れて軽くシェイクした長閑な演奏)/「盛夏劇場」(8/9高円寺 無力無善寺)月本正ソロ○・ONNYK+入間川正美デュオ△・ラジオの様に○・チヨズ×・BAD MISSIONARIES△(組合せはバラけてていいが個々の演奏は今一つ〜三つ)/「EXIAS-J "acoustic increase electronics"」(8/30新宿 ピットイン)△(良くも悪くも生真面目で小さく纏まった集団即興.アコとエレクトロを分けない方が飽きなくて良い).

[映画だのビデオだのDVDだの新旧問わず]
 『あずみ』△/『ゴスフォードパーク』○/『ハンテッド』△/『TRICK 2』×/『ロスト・イン・ラ・マンチャ』○/『ぼくんち』△/『NARC』△/『アウトライブ』×/『ガールファイト』○/『火山高』○/『ギター弾きの恋』○/『SHORT6』?(短編オムニバス.どれがどれだか覚えてない)/『サウス・パーク 映画版』○(TVシリーズを第2シーズン分までしか観てないのが口惜し.バーブラ・ストライザンドはあんだけ虚仮にされて訴えないのかしら)/『ワタリドリ』○/『ミクロコスモス』○/『プレッジ』△/『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』○/『ハイスクール白書』○(邦題で侮っていけない巧緻な作品)/『バトル・ロワイヤル2/鎮魂歌』×(深作Jr.には荷が重かった)/『アバウト・シュミット』○/『天才マックスの世界』○/『A2』○/『アダムズファミリー2』△/『クローン・オブ・エイダ』○(レイトショー上映のトークゲストは山田正紀.作家然としてなくていいわ.題材は偶然にも共通してるが作品的には正紀様の小説『エイダ』の方がスケールでかい)/『ロッタちゃんと赤いじてんしゃ』○(「可愛いからって甘やかすんじゃねーよ」と思うが)/『穴の牙』○+『弘高青春物語』△(「奇想天外ナ遊ビ 鈴木清順 80TH ANNIVERSARY」にて.例によって好き勝手に撮ってる.後者は旧制弘高OBによる/のための作品だべ).

[本も新旧問わず手当たり次第]
 『西原理恵子の人生一年生2号』(小学館)○(サイバラの一人雑誌.ヌルすぎるという1号への批判に発憤したのかやたら濃ゆい出来.くらたまに代表される数多のエピゴーネンとの格の違いは歴然.卯月妙子,キャンディ・ミルキィ,松野行秀,小田晋という恐ろしい顔触れ(松野やや格下)による坦々とした座談会を含む抒情溢れる地獄巡り)/山上たつひこ『追憶の夜』(マガジンハウス)○(死刑廃止問題を大きな軸(実は真のテーマではない)とする地味で重苦しく暗いハードボイルド小説.地の文が巧い半面会話文が台詞めいて不自然だったり描写の観点が不統一だったりするが,これは作者の粘着的性質と作中に「狂言」として象徴的に登場する「型」の意識が混合した所為か.結果的に生硬さを残す文体には賢しらな職業作家の作品を超える生々しさがあり社会問題に回収し得ぬ「心の闇」の描写はフィクションと弁明することで腰が引けてる梁石日のヌルい問題作などよりも真摯.ラストが惜しい)/小泉武夫『中国怪食紀行 我が輩は「冒険する舌」である』(光文社知恵の森文庫)○(いちばん,おもったのは,つぎのみっつのことです.ひとつ.中国人はふところが深すぎるので,かないません.たたかっても勝ちめはないので,せんそうするのはやめたほうがいいです.ふたつ.小泉せんせいの文章の力もあって,おれも,この本にでてくる怪食はたいてい食べれそうな気がしましたが,ホン・オ(韓国の,はっこうさせたエイ)と,シュールストレンミング(スウェーデンの,はっこうさせたニシンのカンヅメ)だけは,ちょっとむずかしいかなとおもいました.みっつ.犬なべ食いたい.こんどはうまいやつを)/ノーム・チョムスキー『メディア・コントロール』(集英社新書)○(標題のメディア論+メディア監視団体主催の講演録+辺見庸によるインタビューのお得な三本立て.あくまで冷静に怒り狂うチョムスキー.筋金入ってる)/東浩紀・笠井潔『動物化する世界の中で』(集英社新書)×(インターネットで公開された往復書簡.激しい対立が売りになってるがこれが「批評の最前線」ってのは冗談でしょ.二人とも観念の徒であることに変わりなし.筋金入ってない)/斎藤美奈子『モダンガール論』(マガジンハウス)○/同『趣味は読書。』(平凡社)○(ナンシー関亡き現在納得のいく辛口批評を書ける数少ない物書き)/養老孟子『バカの壁』(新潮新書)○(一部優性思想入っててどうかと思うが半ば以上は同意できる識者の繰り言.ベストセラーになっているそうだがそれでもバカの壁は崩れまい)/舞城王太郎『九十九一』(講談社ノベルス)×(清涼院へのオマージュというだけで読むのが苦痛.『阿修羅ガール』がベター)/松田洋子『赤い文化住宅の初子』(太田出版)○(駄目な貧乏人を描いて東陽片岡と双璧を為す作家.ヌルい漫画よりこうゆうのが断然良い)/伊坂幸多郎『陽気なギャングが世界を回す』(光文社カッパノベルス)○/同『重力ピエロ』(新潮社)○(舞城と乙一の中間を行く期待の若手.読みやすさでは真ん中,文章の巧さでは一番)/ヨゼフ・シュクヴォレツキー『ノックス師に捧げる10の犯罪(早川書房)○(チェコのクラブ歌手が探偵役の通好みミステリ連作.そーか彼の地のオメコマークは菱形の中央に縦一本線なのか,小説はタメになるなぁ.訳文読みづらい)/ロジャー・コーマン+ジム・ジェローム『私はいかにハリウッドで100本の映画をつくり、しかも10セントも損をしなかったか』(早川書房)◎(知らない人でも読めばきっと好きになる無茶苦茶面白いコーマン自伝)/京極夏彦『陰摩羅鬼の瑕』(講談社ノベルス)×(「おれは5年待ったんだよ.おれは5年待ったんだ.この新作が出る日を.それが何だ.シリーズ最低のやっつけ仕事じゃないか馬鹿野郎」と思った読者は大勢いる筈,正直に言いなさい.最初の50頁ほどで犯人が誰かも何故犯罪を犯し得たかも(動機,とは違うのだが)分かってしまいその後もう一捻りくらいあるだろうと期待して読み進めても裏切られただダラダラと続いて終わる駄作)/久坂武羊『廃用身』(幻冬社)○(スウィフト直系の黒いユーモア文学(ナベゾ風味)として読んで正解だと思うのだが村上龍始めとする識者推薦文は皆中学生の感想文並に青臭い.筆力の勝る同業者への引け目か.処女作にして老獪だが二作目はあるのか?).

[パソコン]
 色々あってパソコンを買い換えることにした.今回は一から組み立てる根性と時間的余裕が無かったのでBTOとし,エプソンダイレクトのEndeavor Pro2500を20回払いで購入.流石にPentium4 3Ghz・DDR DIMM 1024MB級だと快調だわいと喜んでたら,やはり何が起こるか分からないパソコン世界,思わぬトラブルが! 続く.

2003/08/31 GESO