[最近思ったこと]
　スルメイカと芹明香は似ている．
　杉浦日向子は隠居するのも早かったが死ぬのも早かった．流石江戸人．

[字の本]
△柄刀一『レイニー・レイニー・ブルー』
　車椅子の青年探偵が主人公の短編集．まぁ，本格の正道．この作者の，論理性を装いつつも相当無理矢理な所は，島田荘司に通じる．後継者の一人と言えよう．
△泡坂妻夫『蚊取湖殺人事件』
　ミステリとは呼べない作品を含む短編集．この枯淡なユーモアは古くからのファンにしか通じないかも知れないが，俺は好き．
○定方晟『憎悪の宗教』
　仏教学者の見地からユダヤ教，キリスト教，イスラム教という（仲の悪い）兄弟宗教を分析し，根本にある「聖なる憎悪」を批判した本．筆者は自分の主張を「常識破り」と取られることを懸念しているようだが，少なくともユダヤ教とキリスト教に関しては，ニーチェの読者にとって常識であろう．根本的に妬み深い／独善的／残忍／不寛容な神を戴くこれらの宗教は，信徒以外にとっては全く不条理な妄想としか思えん．
○今枝由郎『ブータン仏教から見た日本仏教』
　著者は40年にわたり仏教を研究し続け，その間ブータンの学僧に10年間師事した経験もある，仏蘭西に帰化・在住の人．日本語訳の仏典を持たずに済ましてきたことに起因する原典無理解・誤解・曲解の伝統，戒律と僧伽の不在等々，余りにも特殊化・形骸化している日本の仏教を痛烈に批判している．日本のお寺の常識は世界の非常識――例えば墓や回忌法要や死後の戒名があるのは日本だけ――なんてのは，外からの目で見ないと気付かないことだろう．
　まぁ，日本の仏教は宗教とは似て非なるもの，空洞化した伝統儀式として捉えておけば腹も立たないと思うが．著者もここまで日本的情緒と絡み合って奇形化した仏教を本来の姿に正すことは無理だろうと，ほぼ諦めている様子である．
○高橋哲哉『靖国問題』
　靖国神社という一宗教法人がいかに日本国家と骨絡みの戦争機械として機能してきたのかを，公開史料を引用しつつ簡明に解説した新書．問題の整理に役立つのに加え，努めて冷静な分析を目指しつつも込み上げる怒りを押さえ切れぬ文章が味わい深い．
　ちなみに，「ダカーポ」誌565号のレポートによれば，靖国神社内の博物館は，今や世界中の軍事おたくの遊園地と化しているらしい．やはり一度実地検分しなければ...

[動く絵]
△藤原健一『イズ・エー』
　内藤剛志のマジな演技は久しぶりに観た．巧いなぁと思った．
△実相寺昭雄『姑獲鳥の夏』
　『帝都物語』同様，カメラワークのみで成り立っている作品．筋書きは原作未読の人には訳分からんだろうし，既読の人でもついて行くのが難しい，全編予告編の如き映画．いきおい役者は駒に過ぎず，誰であってもよい造りになっているので，本来なら意見百出であろうキャスティングに関して余り気にならない点は良いのだが，それにしても堤真一の京極堂はミスキャストである．次作――があればだが――では絶対替えるべき．監督もね．
ジョージ・ルーカス△『スター・ウォーズ　エピソード１　ファントム・メナス』・△『エピソード２　クローンの攻撃』
　俺は日本人としては珍しく『男はつらいよ』も『スター・ウォーズ』シリーズも１本も観ずに済ましてきたのだけれど，この度SWシリーズ完結を機に，遅れて来た者の特権として，エピソードの古い順に観ることにした．５作分のDVDを入手し，１〜２を観た後，現在上映中の３を観る予定．
　で，１と２は，様々な宇宙人や宇宙生物の造形は面白いんだけど，お話としては類型的だし深みもないし，どうってことないもんだったなぁ...　まぁ，スペオペなんてどうってことなくてもいいんだけど，それにしてもなぁ...
　１でも余り可愛くなかったけど２になったらまるで可愛くなくなったアナキン・スカイウォーカー君が，３の最後でダークサイドに堕ちてダース・ヴェイダーになるって筋なんでしょ？って，観ないうちから否応なしに知ってるしなぁ...
○トレイ・パーカー『チーム★アメリカ／ワールドポリス』
　世界の警察「チーム★アメリカ」が，世界に仇をなすイスラムのテロリストたち，金正日――実は宇宙人のパペット――と彼に騙されて協力するショーン・ペンらハリウッドのリベラル派俳優たちを殲滅する．ついでに，逸れたミサイル弾でエッフェル塔やらスフィンクス像やら世界遺産を，なにげにぶち壊す．彼らに抗議するマイケル・ムーアは体にダイナマイトを巻き付け本部に自爆テロを仕掛ける．残酷描写／下ネタ／攻撃的な歌（「映画『パールハーバー』は糞！」等々）の嵐．
　生真面目な人なら怒り狂うであろう不謹慎極まりない18禁パペット映画だが，俺の悪い趣味にジャストフィットする，全盛期の山たつに通じる破壊的ギャグ．

[最初で最後の音楽クイズ]
問題　次のURLに置かれた旋律は何を意味するか．
http://pub.idisk-just.com/fview/pedqC-2aTGgTD7a41iRmseoPKbwUwfTJz ..... GamcSeJynr
ヒント
・一種の暗号である．
・元々付いていた歌詞がポイント．
ヒントにならないヒント
・2005年７月17日に観た竹田賢一ソロライヴに触発されて作ったもの．
・作っておいてなんだけど，気色悪い．
締切　特になし．
賞品　当選者先着１名様に本作品の著作犬を進呈します．生後役136年の獰猛なオスです．要らないと言っても押し付けます．煮るなり焼くなり好きにしてください．
----------------------------------------------------------------------
　愛国奴のくせして慎太郎がすることなすこと国益に反しているのは，やはり馬鹿だからか？　そうだろうな．

2005/08/02　GESO