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タイトル2005/09/26■120 単独ですが特殊なんですよ
記事No220
投稿日: 2013/10/05(Sat) 16:22:53
投稿者管理人
[朝,ファーストキッチンにて日本語の乱れを憂う]
 後ろの席に,ケータイで声高に現状報告する男がいる.
 「今? ファッキンしてる」
 現実に聞いたのは初めてだが,ファーストキッチンを「ファッキン」と略すのは如何なものか?
 「してる」もないだろう...

[機械は故障するものよ]
 デスクトップパソコンの電源スイッチが入らなくなった.購入後丸2年経って初めての故障である.
 スレーブで使ってたデータ用HDを80GBのUATAから250GBのSATAに交換しようとして,BIOS設定を試行錯誤する過程で,頻繁に電源ON/OFFを繰り返した所為かも知れない――恐らくそうだろう.
 いずれにせよハード的な故障と思われるので,修理に出すことにした.メーカーはエプソンダイレクト.結構信頼できる会社だと思う.
 購入時に保守サービスに加入していたら年額2,100円の料金で済んでいたのに,後の祭り.スポットだと14,175円かかってしまう.
 でも,これは基本修理料金+診断料+送料+部品代(3年間部品保証期間内は無料)込み込みの価格だから,富士通とかIBMの馬鹿高い修理代に較べれば激安と言えるだろう.
 そもそも普通のメーカーパソコンだと,一度でも蓋を開ければメーカー保証の対象外になってしまうのだから,俺みたいに蓋を開けて増設や改造をせずにはいられない者の場合,BTOか自作のパソコンにした方が,結局維持費が安くつくのである.

[スローライフとは無縁]
 デスクトップの内蔵HD2基は外して手許に置いて,本体の残りを修理に出した.HD自体に損傷がないことは確認済みだったし,修理に出している間に旧HDから新HDにデータをコピーしておきたかったからだ.
 で,ノートパソコン(Mebius)に繋いだUSBハブを介してデータコピーを始めたのだが...USB1.1の転送速度は余りにも遅く,29時間経過しても50GB程度しかコピーが進まない.
 苛々したので,最寄りのソフマップに行ってUSB2.0カードを購入.最もC/Pの高い「玄人志向」製品を選ぶ.4ポートありACアダプタも付いてて3,129円.
 これを刺して再開したところ,あっという間に作業完了.転送スピード40倍(理論値)の差は流石にでかい.
 思えば,パソコンに関してはどうしても高速度を求める傾向がある.
 そもそも今回HDをUATAからSATAに換えようと思ったのも,転送速度が約1.4倍になるからだし.
 インターネットだって,普通の電話回線→ISDN→ADSL→光ケーブルと,どんどん高速なものに換えてきた.今は56Mbpsぐらい出ているから,一応は満足しているのだが...
 問題は,速いものに慣れると,遅いものに戻れなくなることである.
 速度を強さに置き換えると,これは薬物依存症と相似形である.
 ていうか,結局は脳内快感物質の問題に還元されることなのかも知れない.
 結構ヤバい...

[摂食物]
△ほしよりこ『きょうの猫村さん 1』
 猫のくせに働き者の家政婦をしてる猫村さんを主人公に,「描き込みを少なくしてちょっと取っつきやすくした根本敬」みたいな鉛筆画で描いた漫画.アンバランスなのに和ませる,微妙な味わいの猫版「家政婦は見た」.
△山田正紀『電脳少女―アイドロイド・ユイ―』
 アイドル+アンドロイドでアイドロイドらしいが,実質的には,飛び降り自殺した美少女アイドルを再生したサイボーグ.この娘が「麻薬テク組織」と戦うSFアクション小説であるが,版元が官能小説中心の光風社出版ということもあってか,サービス的性描写も多いし,やや重苦しい内容なので,ライトノベルとは言い難い.使い捨てにされるアイドルと,読み捨てにされるノベルスとを重ね合わせて書かれたに違いないというやや穿った見方も,あながち見当外れではないと思う.
 近未来――21世紀初頭.ということは,今時分――の東京が舞台になっていること,そこでは巨大電子メディアが大衆支配の道具として「アイドル」を利用していること,サラリーマンが「さらりまん」と表記されていることなどから,ギブスン作品の影響を受けていることは確かだと思うが,こちらは1993年刊だから,少なくとも1996年刊の『あいどる』を真似たものではない.
 気に入ったのは,西新宿の東京工業試験場跡地に「東京オペラシティ」は造られず,外国人がてんでに住み着いて通称「新宿カスバ」なる魔窟と化しており,ツーバイフォーのモスクまで建てられているため,東京都も迂闊に手を出せないでいるという設定.当然治安は最悪だが,こうなっていた方が現実よりも余程面白いことは確かだ.
 ...って,そんな語るほどの作品じゃないのになぜ語る?(←正紀様ファンだからですかね)
△秦建日子『推理小説』
 何て読むんだ? ハタタケヒコ? 俺は知らなかったが,売れっ子のシナリオライターで,これが初の小説らしい.
 新保博久曰く「タチの悪い新人」で,先行作品を咀嚼して作られたメタ+叙述トリック――理論的には両立し得ないと確か笠井潔が昔書いてたが,そんなこたぁないと思う――のミステリ.悪擦れ具合と文章の軽さは,いかにもテレビ屋が書いた小説という感じ.
 犯人が早い段階で分かっちゃうのは確信犯的にそうしたんだろうけど,問題は作者が意図した(というポーズを取っている)既存推理小説へのアンチテーゼとして成功しているとは思えない点と,果たして2作目は書けるのかという点.まぁ次作を出すとしたら古典的=王道路線で,というパターンでしょうが.
△柄刀一『マスグレイヴ館の島』
 この作者の,舞台を外国に設定した作品には違和感を覚えることが一つ.
 更に,シャーロッキアンを集めた二つの孤島で起こる連続殺人という,それこそ王道を行くミステリであり,大規模な機械的トリックや新奇な叙述トリックを用いているにも拘わらず,意外に驚きがないこと.
 敢えてユーモアを混じえて軽めにした文体が裏目に出たのかも知れない.残念なことである.
△牧口雄二『玉割り人ゆき』
 上映当時見逃したので観てみた,1975年の東映ポルノ映画.原作は三木孝祐+松森正の劇画.絡みのシーンは概ねソフトフォーカス.潤ますみと川谷拓三に味あり.
○シルヴァン・ショメ『ベルヴィル・ランデブー』
 DVDで再見,矢張り傑作.
 特典映像も豊富で,メイキングなど非常に面白かったが,高畑薫による監督インタビューは見ていて恥ずかしかった.高畑,頭悪すぎ.ジブリはもう要らんよ...

[ライヴ覚書]
 ここでは音楽のことは余り話題にしないようにしているのだが,9月23日クラブグッドマン(秋葉原)で観た倉地久美夫ソロの感想は書き留めておきたい.
 約1年ぶりに見た感想を一言でいうなら「やっぱり変だがやっぱり素晴らしい」.曲の展開がどうしてこうなるのか,なんでこういう歌詞になるのか,不可解至極ながら,何も奇を衒っている訳ではなく彼自身の必然から発しているのだということを聴き手に納得させるだけの説得力を持った音楽.
 今回の演目にはスパニッシュギターの影響を垣間見せるインストもあったが,これもいずれは彼固有の演奏/独自の民族音楽へと変容していくに違いない.
 こういう誰にも真似できない/真似しても意味がない演奏にこそ,音楽の醍醐味がある.
 まぁ,その一方で,匿名性の高い演奏/奏者が誰であっても構わないような演奏でも面白いものは面白いと感じることがあるのだから,俺は矛盾しているなーとは思う.

2005/09/26 geso