タイトル | : 2007/05/22■143 何かいいことありそうな |
記事No | : 243 |
投稿日 | : 2013/10/05(Sat) 16:47:51 |
投稿者 | : 管理人 |
[ささやかな幸運] 待合せの時間潰しに入った中古盤屋で,何の期待もせずに邦楽シングル盤のエサ箱を漁ってたら,四半世紀近く捜し続けていた吉田日出子「かま猫のブルース」(1975 ベルウッド)をあっさり発見,即ゲット.盤質B/ジャケシール汚れあり/見本盤 とは言え,630円はお買い得. たまにはいいこともあるもんだ,と嬉しい半面,こんなことで運を使っちゃってるのか...という慨嘆もあり.
[観る映画は旧作ばかり] 田中登はその後2本観たのみ. ○『(秘)色情めす市場』(1974) またまた観ちまった.今回はニュープリントで綺麗. ○『発禁本「美人乱舞」より 責める』(1977) これもニュープリントだったが,初見.伊藤晴雨をモデルにした,山谷初男と宮下順子が絡むSMもの「愛の映画」.痛そうだし寒そうだし,宮下さん,撮影時はさぞかし大変だったろう. 今村昌平特集から3本. ○『にっぽん戦後史 マダムおんぼろの生活』(1970) 横須賀で外人向けバー「おんぼろ」を経営していたマダムへのあけすけなインタビューを軸に戦後史を辿る,テレビ向けドキュメンタリー.日本が敗戦直後から一貫して米国の属国であることが良く分かる. ○『果しなき欲望』(1959) 初めてのつもりで行ったら観た覚えあり,12年前にビデオで観ていたのだった.一攫千金を狙う悪党たちが結局全員死んでしまう話だが,別に因果応報を訴えてる訳じゃない.取り分け渡辺美佐子の悪女役が光る,よくできた犯罪映画. ○『にあんちゃん』(1959) 同名のノンフィクションに基づく一見「教育映画」風作品だが,寂れた炭坑町の在日韓国朝鮮人たちの極貧生活を綺麗事無しで描いた傑作.今時の邦画のようなお涙頂戴の作りの対極にあるにも拘わらず,にあんちゃん(「二番目の兄」の意)の逞しさとその妹の健気さに,思わず啜り泣きする観客多数.
[読む漫画は新刊ばかり] それも続き物が多いのだが,いずれも作品レベルは落ちていない. △こなみかなた『チーズスイートホーム 4』 いいんだけど,安定路線がやや不満. ○一条ゆかり『プライド 7』 つい1巻から読み返してしまう. ○増田こうすけ『ギャグマンガ日和 巻の8』 ヴォルテージを下げずにギャグを描き続けるのは至難の業だろうが,この人と吉田戦車はそれを成し遂げていると思う.ついでにDVD『ギャグマンガ日和2』上下巻も,○. ○花輪和一『続 不成仏霊童女』 ○諸星大二郎『私家版魚類図譜』 花輪と諸星にハズレなし.買い続けるしかない. ○瀧波ユカリ『臨死!!江古田ちゃん 2』 松田洋子と客層がダブりそう...あ,俺か. ○武富健治『掃除当番』 収録作は旧作なんだけど,『鈴木先生』にハマれば当然これにも手が出る訳である.
[読む小説は旧刊ばかり] ○サラ・ウォーターズ『荊の城』上下巻(原書2003,邦訳2005) 2005年の「このミス」1位だったっけ.ヴィクトリア朝倫敦を舞台にした捻りの効いた「取り替えっ子」ミステリ.『半身』も良かったが,これは更に重厚. ○笠井潔『ヴァンパイヤー戦争』全11巻(初版1982〜1988) 借りてたの(2004〜2005の講談社文庫版)を一気読み.笠井のことは思想的には如何なものかと思うが,当人の趣味を全部ぶち込んで書き上げたこの伝奇小説は,単純に面白いので許せる.何も考えずに楽しむべきだろう.それにしても,この講談社文庫版のイラストはひどすぎる.アニメ絵なのは仕方ないにしても,余りにもつるんとしてて,原作のエログロ風味が皆無. ×筒井康隆『巨船ベラス・ラトレス』(2007) 新刊で読んだのはこれと伊坂ぐらい.筒井のは,極私的現代文学嘆き節だが,真に嘆くべきは,あのツツイがこんなに古臭く詰まらない小説しか書けなくなったという悲惨な事実であろう. その後も,積ん読にしてた山田正紀を次々と消化している――何しろ全作を揃えたもんだから――が,今は90年代半ば辺り.地味な佳作が多い中にあって,『天保からくり船』(1994)にはちょっと吃驚した.一見伝奇時代小説だが,予想外の展開に怒る人は怒るぞ,こりゃあ.俺は推すけども.
2007/05/22 GESO
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