タイトル | : 2009/12/26■174 年の瀬と歳の所為 |
記事No | : 255 |
投稿日 | : 2013/10/05(Sat) 21:14:20 |
投稿者 | : 管理人 |
[PC無常] 一寸先は闇とはよく言ったもんで,絶好調だったデスクトップPCが突然死. いろいろ試してみても,VGAモードでしか立ち上がらない,立ち上がっても非常に不安定,ディスプレイが突然真っ暗になる,勝手にシャットダウンする,起動時にメーカーロゴも出ない,BIOS設定ができない,etc. どうやらマザボとグラボがいかれたようだ.でもマザボを交換したら,今使ってるWindows XP ProはOEM版だから,再インストールできなくなる... 逡巡したが,結局PCごと買い換えることにした.さようならEpson Endeaver Pro2500,6年間よく働いてくれたことに感謝... で,ドスパラのBTOでPrime Magnate HDというマイクロタワーモデルを選んで購入した.OSはこの際Windows 7 Proにアップグレード.XPからの移行だとクリーンインストールしなきゃならない... ああ何やらかにやら面倒臭い.出費が痛い... VISTAよりはXPとの互換性が高いとは言え,やはり動作しないソフトも一部あって代わりのソフトを入れるなど,散々苦労して,漸く以前に近い環境に戻したところである.こいつには当分頑張って欲しい.
[あまり観たり読んだりする時間がなかった] ○『パイレーツ・ロック』 1966〜1967年当時のロンドンの海賊ラジオ局を描いたお馬鹿でお下劣な青春ロック映画だが,グッとくるところもあって良し.人気DJを全裸の女性ファンの群れが取り巻く "Electric Ladyland" 英国盤ジャケットそのままのシーンと,レアなアナログ盤の数々――インクレディブル・ストリング・バンドのセカンドアルバムだとか――が船と共に海中深く沈んで行くシーン(ああもったいない...)が印象に残る.
○ベルナール・ウェルベル『蟻の時代』(角川文庫 2003.親本 1996) ○同『蟻の革命』(角川文庫 2003) 蟻三部作の二巻目と三巻目.巻を追うごとに分厚くなっていくところはかつての京極堂シリーズを思わせるが,あちらのように無駄に長いということはない.作中人物に生物の擬人化を戒めさせておきながら昆虫たちを目一杯擬人化してるのは如何なものか,といった批判は当然あるだろうが,これは科学論文じゃなくてSFなんだし,無茶苦茶面白いんだから,そんなことは気にしなくていいと思う.
○三橋順子『女装と日本人』(講談社現代新書 2008) 日本人の性差意識の歴史を「女装」の側面から追究した書.「異性愛」のみを正常(規格)と見なす問題化は,貧困や病気を正常性からの逸脱と見なす近代以降の「知覚の訓育」の一端であったことがよく分かる.作者自身がMtFトランスジェンダーだから言うことに説得力があるが,一方で読者の受け止め方に対する危惧もある(参照 http://d.hatena.ne.jp/Ry0TA/20081104/1225811661).
○大場ひろみ・矢田等『チンドン 聞き書きちんどん屋物語』(バジリコ 2009) 東京のちんどん屋親方たち(故人を含む)へのインタビューを中心に,ちんどん屋の歴史を辿ったフィールドワークの労作.本作も作者(大場)自身がちんどん屋であることが強みになっている.図版や写真も豊富で,ちんどん研究の基礎文献の一つになるだろう.
△麻生荘太郎『闇の中の猫』(東京創元社 2009) 作中人物の一人が言うように,シリアル・キラーものと本格ミステリというそもそも矛盾した存在を巧く合体させようという試みなのか.途中で犯人の目星がつくくらいフェアな記述もあれば,犯人の言動としてはアンフェアに近い記述もあるが,結末の一捻りにそれらを払拭して余りある説得力が果たしてあると言えるのか,疑問.島田荘司推薦なのに奇想やケレン味を感じさせない点も不満.
○詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したか』(光文社 2008) 最新作『電氣人間の虞』を読みたかったのだが,どこの図書館でも貸出中だったので――因みに柳広司『ジョーカーゲーム』『ダブル・ジョーカー』も軒並み数十人予約待ちで,未だ読めない――一つ前の作品を借りた.新人ながらひねくれ方が堂に入っている.終盤近くで――メタフィクション的にではなく普通の登場人物として――作者本人が「俺は本格書きとしてデビューしたんです。ですけどね……今時は昔馴染みの本格なんて流行んねえんですよ」「今ミステリったら右も左も大量殺人で、数十人から殺してなきゃ客も呼べないんです」などと自虐的にぼやく.だがその裏に「それでも(本格を)やるんだよ!」という心意気が透けて見えてて,そこが良い...贔屓の引き倒しかも知れないけど.
2009.12.26 GESO
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