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記事No : 168
タイトル 2001/12/31■068 年末所感
投稿日: 2013/10/05(Sat) 11:44:43
投稿者管理人

[年末所感]
 21世紀最初の悪夢の一年も終わりを告げつつある――なんて感慨は無く,黙ってたって毎年,年は変わるのである.
 でもって,来年はもっと暗い年になるのである.それはもう,きっとそうなのである.
 そう覚悟しておいたほうが,いざというとき気が楽なのである.

[読んではいけない]
 今年読んだ本で一番くだらなかったのは,東野圭吾『超・殺人事件』(新潮社).売れっ子作家ゆえに,初期筒井のチープ・イミテーションみたいな/ことごとく先が読める(どこが「謎解きの妙」だ)/書下しが一編もない,こんな短編集をハードカヴァーで出せるんだなー.しかも誉めてる批評家も結構いたりして.なるほど,出版界はかなりヤバイ状況かも.

[立ち読みしよう]
 モフセン・マフマルバフ『アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない 恥辱のあまり崩れ落ちたのだ』(現代企画室)は読むに価する本であるが,この薄さで1,300円は高すぎる.タイムリーな本だけに,広く読んでもらいたいのなら,簡素なブックレットにでもして廉価で売るほうが賢明だと思うが.
 抄訳は例の『現代思想』10月臨時増刊(1,000円)に載ってるんで,そっちの方がお得.
 それよりも,作者の映画作品『カンダハール』を早く観たいんだけど,日本では来春上映予定だとか.

[マキ]
 今年もまた,最後に観たライヴは浅川マキだった.12月29日新宿ピットイン,恒例の年末五日間連続ライヴの四日目で,さすがに疲れが見え,ヴォーカルの仕上がりとしては今イチだった――初日が非常に良かったという話を聞いてたせいもある――が,今回はバンド編成だったこともあって,親子ほども齢の離れたギターの子,もう食われちゃったのかしら,なんて下世話なことも想像しつつ,去年よりもリラックスして聞けた.
 バッキングの方々(出番順に和泉聡志g・セシル モンローds・渋谷毅kb・植松孝夫ts)はいずれも達者だが,演奏はとても地味.マキのような唯我独尊型歌手の伴奏に当たっては,拮抗するかサポートに徹するかのいずれかだが,結局後者を選ぶしかない――というか,そういう演奏者でなければ共演は困難であろう.
 歌手としてのスタンスは全く異なるにも拘わらず――歌唱法は時々凄く似てるけど――,俺の直観は浅川マキを「裏・美空ひばり」と呼ばせる.例えば「あの人は行った」なんて歌は,まるでひばりの「愛燦々」の陰画のようだ.... 二人とも.遂にルーツを持ち得ず/誰にも似ず/誰にも真似できず/後継者も持たず,自分自身がジャンルになってしまった者の,栄光と孤独を纏っている.
 楽日の最後の挨拶は「みんな,幸せな人生をありがとう」だったというが....そんな遺言みたいなこと言わないで,来年も聴かせて欲しいっす.

2001/12/31 GESO


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