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記事No : 193
タイトル 2003/05/06■093 歌謡日記
投稿日: 2013/10/05(Sat) 14:32:33
投稿者管理人

[5月4日後半]
 チヨズのライヴの日.体調は最悪である.
 三軒茶屋の現場(グレープフルーツムーン)に向かうべくJR渋谷駅で東急田園都市線に乗り換えたつもりが,気が付いたら東急東横線のホームに立っていた.
 慌ててホームを移動し,結果的には10分足らずのロスでリハーサルには全然間に合ったのだが....
 ホームを間違えたその時点で,何だか「験が悪い」という気がしたのだけれど,案の定,本番の俺はギターは故障するわ歌詞は間違うわ演奏は間違うわで,近年最悪ボロボロの出来で,バンドのメンバーに多大な迷惑を掛けてしまった.
 観客席から見れば,別に普段と変わらないと思った人もいただろうし,あろうことか誉めてくれる方々もいたけれど,俺としては駄目なのだ,何にせよ.
 そういうわけで,本番終了後,打上げで月の桂濁りの2杯目を飲むあたりまでは,かなりへこんでいた.
 美味い酒には取り敢えず慰撫効果があるので良し.不味い酒はより落ち込ませるから悪し.

[5月5日前半]
 午前1時すぎに打上げから帰宅したら,何て番組か知らないが,テレビでたまたま「大西ゆかりと新世界」をレポートしてた.このバンドの演目はチヨズと重なる部分もあるのだが,彼女らに代表される,いわゆる昭和歌謡(GSを含む)をカヴァーなりリメイクしてるバンドに対しては,すごい違和感がある.
 「昭和にはこんなにいい歌がありました」「ソウル音楽に通じるものがあります」「とにかくお客さんに楽しんでもらいたい」といった趣旨の大西の発言はやや啓蒙臭いにせよ「正しい」し,上沼恵美子に似たベタベタの大阪キャラは大衆に受け入れられるだろう.バンドの演奏も巧い.一言でいえば「ご立派」である.
 なのに,どうして俺には全然つまらんのだろう.
 彼女たちとの共通点があるとすれば「原曲を敬愛している」ことぐらいだと思うが,これは最低限必要なことで,特記するようなことではないし.

[5月5日後半]
 月本くんの誘いで,彼が最近萌えてる「猫部」(ねこぶ)というバンドのライヴを観に高円寺(ショーボート)へ行くも,彼女らの出番は最後とのこと.
 月本くんは対バンには興味ないから観ないというし,俺も疲れてたので,時間潰しに飲み屋に入り,二人で焼酎ボトル1本+α開ける.体調良いときには適量であるが,そうじゃないので半煮え状態.
 頃合いを見計らって現場に行ったところ,一つ前のバンドの終わり近く.テクノをバックにしたカブキロックスが「すみれSeptember Love」を歌ってるみたいなエキゾチック・ジャパン.80年代国産ロックは新しい懐メロということなのだろう.個人的には全く興味ないが,次回ライヴするという六本木の方が,中央線よりは場所的に似つかわしいかも知れん.それにしても,シンセの琴の音は耳障りだ.
 で,本命の猫部であるが,打込みをバックにキモノを来た三人娘が,やる気なさそうな踊りと下手なユニゾンを披露するB級テクノアイドル歌謡であった.うち一人は,時々アンプリファイした琴を生演奏していたが,三人である必然性は何もない.俺の旧い記憶ファイルに照らしたところ一番似ているものはオナッターズだったが,オナさんの方が百倍はいいよ....と言って,オタ状態で掛け声しがら踊ってた月本くんの気を悪くさせてしまった.すまない気で一杯ではあるが,合わないものは仕方ない.彼の音楽は俺の趣味だが,彼の趣味の音楽は俺の趣味ではないということね.

[5月6日前半]
 チヨズというバンドでは,俺は演りたい歌謡曲を演っている.全く直截な動機で,そこにレトロもパロディもキッチュも入る余地はないし,演出の必要もない.楽曲の並べ方ぐらいは――主に曲ごとのリードヴォーカル担当の都合から――考えるが.
 「演りたい」理由は,8割方は原曲が――更にうち8割は歌手作詞者作曲者編曲者も込みで――好きだからで,残りの2割は,頭の中で脅迫的に鳴ってる曲を放出して解放されたい場合と,頭の中でつながっている曲どうし――俺は「脳内メドレー」と呼んでる――を形にしたい願望がある場合である.具体例は省略するが,ともかく自分にとっては必然性があるわけ.
 もっとも,必ずしも原曲に忠実に演奏しなくてもいいんだし,したくても技術的にできないことはできない――要するに,できる範囲でしかできない.無理してやってしまうこともあるけど.
 やっと分かった.
 昭和歌謡バンドに対して違和感を感じるのは,彼らが広い意味における芸能――それは当然エンタテインメントである――の一環として歌謡曲を演ってるのに対し,俺らは,歌謡曲に分類される音楽を演ってはいても全然芸能になってないし,芸能を目指してもいないからなのだな.
 今頃そんなことに気付いたかって感じだが....
 似た立ち位置のバンドはいるだろうか.
 昔「よい子の歌謡曲」誌のインタビュー記事で読んだだけで,遂に一度も観る機会はなかったけど,20年ほど前「世間」というバンドがあった.
 歌謡曲が好きで演りたいだけだから,別に立派な楽器編成でなくても,できる範囲でやれば構わんということで,しょぼい生ギターだけで豊川誕とかフィンガー5とかの演目を黙々と演奏していたデュオだかトリオらしい.この姿勢には親近感を覚える.
 ただ,メンバーに犬山犬子がいたみたいだから,ちょっと演出入ってたかも知れない.観てないから何とも言えないが.
 それにしても,歌謡曲でありながら芸能ではないというあり方はあり得るのだろうか.
 あり得なくってやるのだ.

[突然思い出したこと]
 半年ほど前,カーラジオで聞いた番組(確かTBSのマッピーのやつ)で,ゲスト出演してた西条秀樹が,確か歌唱力の話題に絡んでのことだったと思うが,「「夜空ノムコウ」のスガシカオオリジナル版とSMAP版を聴き較べると,前者の方が歌は上手いし音楽的にもより高度だと思うが,後者の方にはそれを補って余りある歌謡曲的なオーラを感じるので,SMAP版の方が好きだ.歌の善し悪しは歌唱力の有無とは関係ない」という内容の発言をしたので,「ヒデキ,分かってるじゃん.歌唱力あるくせに」と思った.

2003/05/06 GESO


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