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記事No : 195
タイトル 2003/12/31■095 光陰
投稿日: 2013/10/05(Sat) 14:33:51
投稿者管理人

[年末]
 愚痴も後悔も全部割愛.日々は続く.

[喫茶メシ]
 近所のお気に入りの喫茶店は,15年前に開店したらしいのだが,椅子もテーブルもどう見ても70年代前半の佇まいである.弾かれなくなって久しそうなアプライトピアノが,置物の台になっている.レトロっていうんじゃなく,単に古ぼけた感じ.決して不味くはないショウガ焼きセット(味噌汁・コーヒー付き)650円といった価格設定も好もしい.
 いつぞや「カレードライカレーセット 700円」という見慣れぬメニューを発見したので注文したところ,単にドライカレーにカレーをかけたものだった――察しがつきそうなもんだが,そのときは思い付かなかったな.
 味は想像どおり非常にくどかったけれど,喫茶メシはこういうジャンクな味で良しとする.
 家族経営だから何とかやっていられるみたいなのだが,ずっと潰れないで欲しいものだ.
 因みに,ここ(店名は秘す)では,娘と思しき小3ぐらいの小柄な子が,たれパンダのエプロンなど着けて給仕しており,ロリのお方には堪らんかも知れない.
 小学生を働かすのはいかがなものかとも思うが,家事手伝いと考えればいいのかしら.

[読]
 どんなに忙しくても酒精と書籍を切らすわけにはいかない.
 伊坂幸太郎(幸多郎は誤記だった)『オーデュボンの祈り』○(デビュー作.現時点フェイバリット)/同『アヒルと鴨のコインロッカー』○(最新作.安定路線)/山田正紀『風水火那子の冒険』△/『天正マクベス』△/『サイコトパス』○(今年の正紀様は今一つだったなーと思ってたら,年末に傑作『サイコトパス』登場.山田版『マルホランド・ドライブ』)/倉橋由美子『老人のための残酷童話』○(いくつになっても意地悪なお話を書き続ける由美子様.簡明かつ達意の文章)/浦賀和宏『彼女は存在しない』△(折原一が書いたらもっと面白かったかも)/飛鳥部勝則『ラミア虐殺』×(呆然.某作家の『○い○』に匹敵する「期待外し」の怪作)/筒井康隆『ヘル』×(ヌルい地獄を描いたヌルい小説)/折原一『被告A』△(『倒錯の死角』の結末にクラクラきたウブな昔が懐かしい)/ノーム・チョムスキー『ノーム・チョムスキー』○(リトル・モアから出てるのか)/柳広司『新世界』△(歴史ミステリで戦争を分析した真面目な新人.他のも読みたい)/根本敬『夜間中学』○(濃密な無駄話という芸)/歌野正午『黄桜の季節に君を想うということ』△(本作や『陰摩羅鬼の瑕』×がベスト10入りってのは,今年のミステリ界は不作だったってことか)/西澤保彦『神のロジック 人間のマジック』○(意外に評価が低いのは何故)/ナンシー関『ナンシー関大全』○(未収録&泣かせネタ満載)/ベギラマ『乙女失格』△(超変態との評判だったが意外に普通)/マイケル・ムーア『おい、ブッシュ、世界を返せ!』○(チョムスキーのことを辛気くさいと思ってる節あり)/舞城王太郎『山ん中の獅見朋成雄』○(「あの映画」を連想させすぎるけど『阿修羅ガール』で「やかまし村」をダークファンタジー化してた前歴もあるから確信犯なんだろう)/レオポルド・ショヴォー『ショヴォー氏とルノー君のお話集』◎(全5巻.「一度読むと、いつまでも懐しい気分がつづく」(吉行淳之介)ノンセンスの宝石箱)/西原理恵子『できるかなV3』○(今,真に無頼派と言える作家はサイバラだけかも)/その他資源ゴミ多数.
 伊坂作品はいいのだが「村上春樹直系の機知に富んだ会話」(香山二三郎)などと評されると,脱力するなぁ....
 『黄桜の季節に...』がいただけなかったのには,読み始めた直後に書店で千街晶之の評論集をパラパラ見てたらネタバラシの一行が目に入ってしまい,読む気が8割方失せたという事情もある.悪いのは千街,と八つ当たりしておく.

[観]
 モレキュラーシアター公演『ITADORI』(9/6国際交流基金フォーラム)△(ジャーゴンで煙に巻くいつもの手法.行為自体は大工仕事の真似)/唐組公演『河童』(10/18西新宿原っぱ)×(唐ってこんなに駄目だったっけ?まるで欽ちゃん劇場.痛い)/野戦の月=海筆子公演『阿Qクロニクル 罠と虜』(10/25東小金井駅北口広場)○(唐組が詰まらなかった反動でよく見えたみたい)/QUATRO GATOS公演[in/out-there](11/22中央大学多摩キャンパス)?(居眠りしてたため何とも言えず).
 『日本ゲリラ時代』×/『大悪党』○/『銭ゲバ』○/『僕は天使ぢゃないよ』○/『日本人のへそ』○(以上は緑魔子連続上映企画より.田宮二郎がイカす『大悪党』のみ初見)/『裸の球を持つ男』△/『ポルノヒーローオーガズモ』△(前者はトレイ・パーカーとマット・ストーンが出演,後者はパーカーが監督・主演のおバカ映画だが,どちらも映画の作り自体はオーソドックス.後者は末松正博『ザ・ビッグマン』の元ネタだろう)/『危いことなら銭になる』○/『砂の上の植物群』○/『混血児リカ』○/『混血児リカ・ひとりゆくさすらい旅』○(以上中平康連続上映企画より.作風はバラバラだがどれも面白かった.『混血児リカ』は登場人物の行動がことごとく短絡的で現代に通じる?)/『シベリア超特急3』×/『同4』×(まだやるんか....)/『フルイルティー−妄執−』△(いいのかこのラストで?DVD版に入ってる監督の副音声による自画自賛解説が,ある意味凄い)/『奇人たちの晩餐会』△(洒落たシチュエーションコメディってやつ?)/『歌え!フィッシャーマン』○(ノルウェーの歌う老漁師たち.元気満々すぎ)『フランキーの宇宙人』△(まさかの夢落ち)/『極道恐怖大劇場 牛頭』○(俺にとっては三池の最高傑作)/『24 -twenty four-』○/『アイデンティティー』○(アイディア一発勝負)/『キル・ビル Vol.1』○/『昭和歌謡大全集』△(「<ガキ>vs<おばさん>勝つのはどっちだ!?」って,演技的にはおばさんたち圧勝.松田龍平惨敗)/『マイケル・ムーアの"恐るべき真実" アホでマヌケなアメリカ白人』?(折角1と3を借りたのに眠くてちゃんと観れぬまま返却)/『マトリックス レボリューションズ』×(VSFXがどんなに凄くても今更驚かないし,お話はなっちゃいないし,どこが完結編?)/『ボーイズドントクライ』○(性同一性障害者の悲劇を描いた凄く後味の悪い作品だが,主役のヒラリー・スワンクだけでも観る価値あり)/他.
 『24』は,毎回1時間×24回放送でリアルタイムで事態が進行するというアイディアの秀逸さで話題になったテレビ映画だが,実際の各回の放送時間は正味40数分である.どこで時間を誤魔化していたのだろう――多分CMの時間は無かったことにしたんだろうな.それに,広い米国なのに登場人物が異常に早い時間で移動できてるところとか,突っ込みどころは多いし,保守派のフォックス・テレビ制作だけあって,「強い父親」や家族愛の称揚,コソボ介入の正当化など,胡散臭さも付きまとうのだが,毎回ハラハラさせる物語自体は――中弛みもあるが――楽しめた.キーファー・サザーランドぐらいしか有名な俳優が出てこないと思ってたら,終わりに近くなって「あの」御大が敵役で登場.それにしても,自分の家族を守るためなら他人の家族はぶっ殺してもいいって,米国人の多くは本気で思ってるのかねぇ....困ったもんだ.
 『キル・ビル Vol.1』は,好き嫌いが分かれそう.何しろ,十代の時分に致死量を超えるB級映画を浴びて脳をやられた監督の映画だもんな.スプラッタ+アクションを笑って楽しめる人でなきゃ辛いかも.でも,千葉真一を使いこなせない日本映画関係者にこの作品をどうこう言う資格はないであろう.俺は,世界中のスクリーンに「怨み節」が――あの退屈なアレンジのまま――フルコーラス流れるんだと思うだけでニコニコしちゃいましたが.
 ライヴの類は殆ど観てないけど,印象に残ったのは倉地久美夫の3回に及ぶ東京公演(10/11スターパインズカフェ,10/12渋谷NEST「OZdisc VS Out One Disc」,12/6CLUB GOODMAN「人斬り以蔵」),ジャン=フランソワ・ポーヴロス+大里俊晴デュオ(11/18横浜国立大学),月本正+山口英資デュオ(11/30高円寺ショーボート),ファントムギフトのほぼ15年ぶり一夜限りの公演(12/13チェルシーホテル「ザ・ファントムギフトの奇跡」),あとは浅川マキ恒例の年末公演(12/28新宿ピットイン),そんなところ.

[パソコン]
 購入して程なく,突然勝手に再起動してしまうという致命的な現象がしばしば発生.原因を追究したところ,どうやら後から挿したSCSIボードとの相性が悪いせいらしい.
 外してしまえばいいのだが,長年使ってる外付けSCSI機器(MO・HD・CD-ROMの各ドライブ)が使えなくなるのは勿体ないし....
 ということで,ダメモトでSCSIボードをUSB2.0-SCSI変換ケーブルに替えたら,あっさり解決.案ずるより産むが易しでした.
 その後は98やMeとは比較にならぬ安定性を示すXP Proではあるが,最近また若干不具合が生じるようになった(Officeのアップデートができないとか)ので,漸くまとまった時間が取れたこの年末休みにクリーンインストールを決行.きれいなHDになってすっきり新年を迎えられる....筈.

2003/12/31 GESO


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