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記事No : 201
タイトル 2004/05/17■101 夜中に書くとろくなもんにならない
投稿日: 2013/10/05(Sat) 14:38:42
投稿者管理人

[前世紀からの課題]
 棄てることができない性格が災いして,部屋のそこかしこに生やした本の柱が成長を続け,足の踏み場がない状況になってきた.
 ために,スペースを要する作業が全然できず困ったよー.
 人によっては,これがCDの柱だったりビデオの柱だったりゴミの山だったり食玩の棚だったりコケシの殿堂だったりするんでしょうね....

[かすのちけけか、ちけけのかすか]
 『アユ』だの『セカチュー』だのみたいなカスというかクズ小説がベストセラーだなんて,世の中本当に馬鹿ばかりなんでしょうか?(←反語)
 ベストセラーを実際に支えてる連中ってのは,普段小説を殆ど/全く読んだことがないけれど同僚同輩たちが読んでて皆面白いと薦めるから試しに買ってみた,という人たちらしい.
 その同僚同輩たちというのも普段小説を殆ど/全く読んだことがないけれどそのまた同僚同輩たちが読んでて(以下略)
 「取り敢えずこーゆー読みやすいものから入って小説の面白さを知っていただき,更に広く読み進めてもらえれば宜しいのでは」という肯定的な意見もいくつか目にしたけど,そんな希望的観測は現実的ではない.
 最初から出来の悪い小説で良しとするようじゃ,お先真っ暗でしょうが.
 まぁ,小説なんか読まなくたってつまらん人生を渡っては行けるわけですから,いいんだけどさ.
 本論はさておき,些末なことどもを記す.
 山たつに先駆けて『田村信ゴールデンデラックス・かすちけけ』が出たんで,早速読んだんだが,表題作を除いて絵柄もギャグも盟友江口寿史(だそうです)の影響が目立つようになって以後の作品ばかりで,なんだかなぁ....躊躇ないバカ一筋ぶりは,江口よりも当然清々しくて良いんだけど.絵が下手だった頃の方が断然面白かった.△
 大森望・豊崎由美『文学賞メッタ斬り!』と斎藤美奈子『文学的商品学』は,どちらも面白くて◎だったが,この辺の辛口書評家の間でも金井美恵子批判はタブーらしいのは何故? 金井ってそんなに偉いのか.俺も若馬鹿しい頃はファンだったけど,今じゃもうこっ恥ずかしくて読めねー.
 萩尾望都『バルバラ異界』は,中途半端に古臭いSFだなぁと思って読み始めたら,段々面白くなってきた.流石ストーリーテラーである.○
 新藤冬樹『カリスマ』は,主としてオウムと麻原をモデルにした宗教=犯罪小説.俗情と大々的に結託した下品な作風もこれだけ徹底してれば大したもんだが,普段ろくに小説を読まないテレビギョーカイの方々が大絶賛というレベルの,ひどい文章ではある.△
 津原泰水『ペニス』は,一読,井の頭公園を散歩したくなくなる物語.笠井潔は「バタイユの神秘主義的観念小説」に似ていると解説してるが,俺的は佯狂文学の一種で,本物(例: 色川式大『狂人日記』)には及ばぬ.筆力は奥泉光と同じくらいあるから,読んでも損はないが.○
 噂真が休刊して毎月10日が淋しいが,同誌連載のコラム「撃」11年分を纏めた『「非国民」手帖』が出たのは救い.一時はこの匿名コラムの筆者の正体は 榎並−三橋かと推定していたのだがどうも違うようで,もう少し若手らしいが,志はごく近い.古びるどころか現実性を増し続ける「まつろわぬ言説」群.○
 貴志祐介『硝子のハンマー』は,前半はガチガチのパズラー,後半は犯人側からの描写から成る意欲作.で,期待して読んだんだが,爽快感は得られず今イチ.△
 小林泰三『密室・殺人』.このキャラたちで引っ張られても苦しい.×
 梨木香歩『家守綺譚』.明治23年の京都の田舎家を舞台にした怪異譚.当たり前のように幽霊や妖怪変化が現れる,『百鬼夜行抄』みたいなしみじみテイスト.○
 井上剛『マーブル騒動記』.突如として知性を獲得した牛たちが,人間に対して権利を主張し始める,という設定に新鮮味はないが,こういう物語はディテールが勝負ということをよく弁えた綿密な書きぶり.筒井風ドタバタ劇が展開し,「アルジャーノン」風に終わる.○
 スティーヴン・ソダーバーグ『エリン・ブロコビッチ』は,バツ2(といった差別表現は日本独自だそうだが)で3人の子を持つ女性が,バイトで入った弁護士事務所を拠点に公害企業と闘うことになるという,実話に基づく映画.ソダーバーグも,主演のジュリア・ロバーツも好きじゃないのに,楽しめた.作品の出来が良かったってことね.○
 ロバート・マリガン『アラバマ物語』の原題は "TO KILL A MOCKING BIRD"だが,この邦題で全然OK.昔は邦題に工夫があったな.大昔テレビ放映で観たことあるが,内容はすっかり忘れてた.黒人差別が当然だった30年代の米国南部の日常を,子供の視点で描いている.弁護士役グレゴリー・ペックの正義漢ぶりが格好良すぎるとか,ラストはあれでいいのか等,疑問もあれど,総合評価としては名作.○
 ミッシェル・オスロ『キリクと魔女』は,アフリカの架空の村を舞台にしたファンタジーアニメ.世界一手の掛からない赤ん坊(自分で臍の緒を切って生まれ,最初から言葉も知恵もある)が,魔女に蹂躙される村人たちを救い,最後には魔女本人をも救う.余り教訓はないと思う.何がいいかって,絵がやたらに綺麗なこと.○
 豊田利晃『ナインソウルズ』は脱獄者たちのロードムーヴィー.と言えば『オー・ブラザー!』を連想するけど,ちょっとファンタジー入ってるとこも似てないこともない.△
 ポン・ジュノ『殺人の追憶』は,誉める人が多いようだが,犯人が分からないミステリって,やっぱりスッキリしない.実話に基づいてるから仕方ないとは言え,ノンフィクションとして観れば作りすぎだし,中途半端.△
 デレク・ヴァンリント『チャイルド・コレクター −溺死体−』は連続幼女殺人もののサイコスリラー.原題 "SPREADING FIELD"じゃ地味すぎるが,邦題はインチキ.主演がデニス・ホッパーってだけで観たんだが,犯人役じゃなくてくたびれた老刑事役だった.プロットは悪くないがサスペンスが盛り上がらず,火サス並みの安さ.×
 フィリップ・ノイス『ボーン・コレクター』もサイコ連殺もの.『羊沈』直系で悪くないけど,犯人のキャラが弱すぎて説得力不足.△
 スティーブン・フリアーズ『ハイ・フィデリティ』は,ロックおたく向けの映画なんでしょうか? いろんな点で後記『スクール・オブ・ロック』に連なるところあり.△
 タナダユキ『タカダワタル的』は,作品的には映画館で上映するほどのこともないユルいドキュメンタリー(CX『NONFIX』の方がよほどマシ)で×だが,日替わりミニライヴ付きで前売1,300円というのはお得だった.俺が観た日のオマケは田川律と高田御大の雑談で,ワタルさんは「十九の春」のカヴァー(初演)と「アイスクリーム」を歌った.ただのアル中親父なれど,あのヴォーカルさえあればOK.
 ソフィア・コッポラ『ロスト・イン・トランスレーション』には,『ヴァージン・スーサイズ』が良かっただけに,落胆した.日本に特に興味もないのに仕事絡みで来日した米国人男女が,疎外感をヨスガに「心の触れ合い」とやらを繰り広げる,つまらん映画.日本や東京を特別な場所として描いてない点が特長かも知れんが,監督の友人知人たちがチョイ役で出演したりしてて,結局内輪受けのスノッブなインディーズ映画止まり.絶賛してる方々は多分あやかりたいだけなんだろう.折角来日したんなら,ギョーカイ人が群れるクラブとかじゃなくて,釜ヶ崎ロケでも敢行してディープジャパンな映画を作れば良かったのに.まぁ無理か.×
 リチャード・リンクレイター『スクール・オブ・ロック』は,日本版フライヤーの惹句どおり「ジャック・ブラック版ロック金八先生」.一般人も楽しめるだろうし,ロック馬鹿ならなおさら楽しめるであろう,ある意味ファンタジー.実際,試写会場は爆笑の渦だった.冷静に観れば非常に反動的な内容で,ロックがいかに「体制の補完物」であり続けてきたかがよく分かるお話だが,こーゆーもんをマジに批判するのも大人げない.頭を空っぽにしてパッと楽しんでパッと忘れるのが一番.△
 同監督の『ウェイキング・ライフ』は,実写映像をわざわざデジタル処理のうえアニメ化したもので,登場人物たちのスノッブな哲学談義が延々と続く実験作.余りにも退屈.×
 クエンティン・タランティーノ『キル・ビルVol.2』を「奥深い」なんて評する人は誤解してる.この作品における人物造形なんて,アクションから逆算して付け足したものに過ぎないでしょ(それで構わないんだけど).でも,より馬鹿馬鹿しさに徹してて賑やかだったVol.1がベター.△
 ジェイ・ローチ『ミート・ザ・ペアレンツ』△/ハロルド・ライミス『アナライズ・ミー』△/同『アナライズ・ユー』△.何でもやるなー,デ・ニーロ.この辺の作品は,強面だけど三の線入ってるので,ご家族でも安心して観れることでしょう.
 サイモン・ウエスト『コン・エアー』.全くお約束の展開のサスペンス映画であるが,テンポよし役者よしで楽しめる.マッチョで長髪のニコラス・ケイジって....見慣れれば違和感ないか.○
 吉岡逸夫『笑うイラク魂』は,日米大本営発表だけでよしとする連中にとっても,親ムスリムにとっても目障りな映画かも知れないが,こういうドキュメンタリーこそ存在価値があるし,第一面白い.○
 カレル・ゼマン『クラバート』は,素朴なチェコ昔話アニメ.ハイテクなアニメに疲れた人には一服の清涼剤.○
 クロード・ミレール『なまいきシャルロット』.生意気というよりは思春期のホルモンバランスの崩れに起因する我が儘・気紛れってもんでしょう.シャルロット・ゲンズブールは,14歳の旬を映像に記録できて幸いだった.○
 トニー・ガトリフ『僕のスウィング』.キュンときて○.この監督はジプシー系で,音楽主体のジプシー映画しか撮らないらしい.前作『ベンゴ』も観たが,演出は(故意に?)舌足らずだけど,濃ゆい演技と演奏にお腹一杯で○.
 ベン・スティラー『ケーブルガイ』.憎めないサイコ役で,またも顔で笑かすジム・キャリー.△
 そろそろ疲れた.あと観たものはメモによれば次くらい.
 ロブ・ミンコフ『スチュアート・リトル』△
 フランシス・ヴェベール『メルシィ!人生』△
 ジェイク・カスダン『オレンジカウンティ』△
 フランソワ・オゾン『まぼろし』△
 ジョージ・クルーニー『コンフェッション』△
 ライヴでは,5月3日渋谷ネスト「第一回円山町円盤ジャンボリー」3日目のthree for free, free for three(林栄一+梅津和時+藤川義明)と倉地久美夫+外山明デュオ,5月4日三軒茶屋グレープフルーツムーンでの倉地+外山デュオが良かった.あとは可もなく不可もなし.

[DV]
 家畜を犯す光景を録ったビデオ.

[DVD]
 DVをビデオディスク化したもの.

2004/05/17 GESO


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