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記事No : 202
タイトル 2004/07/05■102 はや文月
投稿日: 2013/10/05(Sat) 14:39:21
投稿者管理人

[最近の痛手]
 ケータイを紛失.やむなく買い換えというか機種変更したら,1週間後に,預かっているとの通知葉書が警視庁遺失物センターから届く.中央線電車内で車掌さんが拾った由.時既に遅しだけど,一応取りに行く.はいはい,酔っ払ったせいですよ.

[最近のお気に入りは初台の「我流」だけど]
 ラーメンチェーン店 日高屋には,中華そばが390円の店舗と,290円の店舗がある――後者は,まる得日高屋と称する――が,どう違うのか確かめてみた.
 約1週間空けて行ったので,今一つ記憶に自信がないのだが,麺と汁の味に関しては大差なかったと思う.
 僅かに異なるのは具で,390円版が葱・支那竹・海苔1枚・叉焼2枚であるのに対して,290円版は葱・支那竹・海苔1枚・叉焼1枚・鳴戸1枚という構成.海苔と叉焼は,前者の方が大きい.中華そば以外のお品書きはほぼ同額.
 結論として,100円分の味の差は認められないから,290円版で十分と言えよう.
 ちなみに,当店は典型的な安手の東京風醤油ラーメンで,味は大番よりは上・直久よりは下ぐらい.
 こだわりのラーメン屋群とは比較にならないが,週2回以上飽きずに食える安いジャンクフードとしては,この程度でいいんじゃないかしら.... たかがラーメンに毎回800円も900円も払えるかってーの.

[「悔い改めよ,フライマン!」とチックタックは言った(古すぎ)]
 本も映画も大ヒット,更にテレビドラマ化もされるとかで,オメデタイ限りの「セカチュー」であるが,片山恭一はハーラン・エリスンを知る由もなく,エヴァ最終話から採ったのだとか.結果的に孫引きみたいなもの? しかも,担当編集者の入れ知恵らしい.
 タイトルしか話題にすべき点がないことを含めて,恥ずかしいなぁ.... Good grief!

[読むものは常にある]
△山上たつひこ『喜劇新思想体系 完全版』上
 大分遅れたがやっと出た.まずは喜ばしい.
 だけど,未だ精読していない段階で,疑問点続出である.
 例えば,記念すべき第1話「ゼンマイ仕掛けのまくわうり」に出てくる陸上自衛隊某師団長と,その部下の台詞.当版では「マレー半島で英兵の首を百と二十もたたき落としたこのわしだ」「マレー攻略の時みたいにいきませんな」となっているが,これは,旧・青林堂版(1973)でそれぞれ「南京でチャンコロの首を百と二十もたたき落としたこのわしだ」「南京攻略の時みたいにいきませんな」となっていたのが,差し替えられている.雑誌初出時には見てないが,十中八九,青林堂版の方が原形のままだと思う.ちなみに,双葉社版(1984)は――手許にないので確かなことは言えないが――「チャンコロ」が「敵」と言い換えられていたと記憶している.今回はその中間を行ったわけだ.まぁ,英兵の首ならたたき落としていいということもないと思うが,要は「南京」「チャンコロ」という言葉を避けての自主規制であろう.
 台詞以外では,例えば「湯の町エレジー(その壱)」の岩風呂のシーン.青林堂版では若尾志麻の陰毛が無修正で描かれていたのに,当版では黒ベタで修正されている.これは,イケナイ.なぜなら,修正すれば,続編「湯の町エレジー(その弐)」に出てくる,山上の担当編集者の「前回の話はもっと淫猥でシリメツレツで乱雑でおまけに陰毛まで描いてあった」という台詞が,意味を成さなくなるからである.
 このように当版には,自主規制に基づくと思しき修正が,相当あるようだ.
 無論,有害図書に指定されたくはなかろうし,敢えて事を構えることを避けるべく自主規制する姿勢を,一概に非難することはできまい.
 だが,それなら「完全版」だとか「修正・削除された表現も著者監修のもと完全復元」なんて嘘っぱちの宣伝文句を表示すべきではない.
 この「著者監修のもと」という表現がミソだのな.山たつ本人を共犯者にして改竄したわけだ.姑息な....(続く).
◎花輪和一『不成仏霊童女』
 「月刊ホラーM」なんてチェックしてなかったんで,見逃してた作品集.
 夢の21世紀の当世(泣),こんだけ業の深い世界を描く漫画は,ちょっと類を見ない.作者本人の業の深さを公然と語る長いあとがきも,すんごい.これを妄想と言うのであれば,世の宗教だって全部妄想である.
◎松永豊和『龍宮殿』1,2
 あの『バクネヤング』作者の最新SF漫画(「月刊IKKI」連載中).意外に可愛いらしいキャラ群を隠れ蓑に,本来の残虐非道ぶりを小出しにしているが,大団円に向かって連鎖爆発していくことを期待.
○ラズウェル細木『魚心あれば食べ心』鰓の巻
 この人は酒と食い物のことしか描かないけれど,雁屋哲などと違って食通ぶった嫌味が全然なくて良い.今回は酒の肴としての魚をテーマにしたシリーズで,読むそばから食いたくなる.
×倉田真由美・渡辺洋香『くらたま&ヨーコの恋愛道場』
 くらたまは勘違いしてるただのヘタレだということがよく分かる.こいつと齊籐孝(ゲストの一人)が意気投合している様――別に共著も出してる.『喫茶店で2時間もたない男とはつきあうな!』だってよ――は,醜悪.
○芦辺拓『紅楼夢の殺人』
 原典を読まないうちに本歌取りを読んでいいもんかとも思うが,教養主義者じゃないからいいのだ,別に.「物語至上主義者」芦辺は清涼院流水とは対極に位置するミステリ作家.真摯.
?ポール・クルーグマン『クルーグマン教授の経済入門』
 山形浩生自画自賛の砕けた翻訳がいいのか悪いのか分からないが,「経済にとって大事なことは生産性・所得配分・失業の三つだけ」といった簡明な理論が俗耳に入りやすいのは確か.
○副島隆彦『ハリウッド映画で読む世界覇権国アメリカ』上・下
 極左出身現極右・自我肥大気味・陰謀妄想入ってる副島センセ本人も面白いが,著作もなかなかとんでもない.
 読了後,どんな映画を観ても政治的背景が気になって仕方なくなるという副作用はあるものの,有用な情報も多いハリウッド映画ガイドブック.
 信条に忠実で己のトンデモぶりに気付かない様は,大槻義彦教授にも通じるものがある.
○本格ミステリ作家クラブ編『本格ミステリ04』
 アンソロジーを編む際は,先入観を排して満遍なく読み漁り,著者ではなくあくまでも個々の作品の出来不出来で選ぶべきなんだな,やっぱり.クラブ会員以外の作品でも良いものは収録するという,本書の公正な姿勢は好もしい.
 実際,横山秀夫作品も高橋克彦作品も,本書に収録されていなかったらまず読み逃していたと思う.
 ジャーマンロックLPの邦題を拝借した鳥飼否宇の連作の一編『廃墟と青空』は,ミステリとしての出来は?なるもプログレファンなら必読の珍品.
○二ノ宮知子『のだめカンタービレ』1〜9
 キャッチどおり「とっても愉快な音楽まんが」.ちょっと捻った王道.早く続きが読みたい.
△勢古浩爾『思想なんかいらない生活』
 相当ルサンチマン入ってるが,概ね首肯できる知識人批判本.確かに,業界内でしか通用しないインテリのご託宣を有り難がる必要など,フツーの「生活者」には全くないわけで.
 ただ,著者は「思想」批判本だと称してるが,ヤリ玉に挙げられた顔触れ――蓮實重彦だの柄谷行人だの竹田青爾だの加藤典洋だの――を思想家と見なすのは買い被りすぎなのでは.皆,精々海外思想の輸入代理店というか,翻案家に過ぎないし,大月隆寛などそれですらない――ナンシー関の死骸にたかる金蠅みたいなもん――でしょう.
 あと,唯一吉本隆明を認めている点も,その理由については別著に書く(かも知れない)と言って本書で説明していない点も,不可解.
 ちなみに,勢古も竹田も呉智英も,揃って中島みゆき信者で一家言持ってるというのは,不可解というか馬鹿というか気持ち悪いというか.... 楽曲総体ではなく歌詞を偏重して深読みしてるだけなんだろうが.
○奥泉光『鳥類学者のファンタジア』
 金井美恵子風一人称饒舌文で描かれた音楽ファンタジー.素直に楽しめる小説だと思うが,これに「プロパーSF作家じゃないからSF大賞取らすまじ」と己の出自も顧みずケチをつけた中島梓の狭量さに呆れる(大森望・豊崎由美『文学賞メッタ斬り!』参照).
○伊坂幸太郎『チルドレン』
 若手では最も嫌いになれない小説家.誰も死なない作品は初めてか.
○『家守奇譚』で(恥ずかしながら)初めて知った梨木香歩を纏め読みしている.良い.『村田エフェンディ滞土録』『りかさん』『裏庭』『からくりからくさ』等.

[観るものは常にある]
△カロリーネ・リンク『点子ちゃんとアントン』
 設定を現代にしてある程度リアリティーを持たせているが,そもそもの独逸的雰囲気が変,と感じる俺は異邦人.
○今敏の『東京ゴッドファザーズ』とか『妄想代理人』
 どんなに金を掛けて見事な映像を作ったところで,肝心の「お話」が詰まらないんじゃ駄目でしょうよ押井さん,と暗に批判しているかのような,正しいジャパニメーション.
?ペドロ・アルモドバル『トーク・トゥ・ハー』
 誉める人が多いようだが,どこがいいの?
×ウッディ・アレン『セレブレティ』
 衰弱と倦怠しか感じられず.
○ニール・ラビュート『ベティ・サイズモア』
 サイコ入ったダークコメディ? ここでのレニー・ゼルウィガーは『ブリジット・ジョーンズ』なんかより全然良い.
○ベン・スティラー『ズーランダー』,スティーヴン・ダルドリー 『リトル・ダンサー』,マーク・ハーマン『ブラス!』,カーティス・ハンソン『8マイル』
 このあたりは,副島隆彦を読んだ後では歴然とした政治映画にしか見えないけど,いずれも興味深かった.
 例えば『8マイル』を観て,なぜデトロイトでヒップホップなのかってことが門外漢の俺にも理解できたし.ホワイトトラッシュがインテリ黒人に勝っちゃうこの逆差別歌合戦の世界から翻って,日本のヒップホップが如何に必然性を欠いているかもよく分かった....気がするだけかも,だけど.
×和田勉『完全なる飼育』
 ほのぼのレイプな馬鹿映画.
△ドキュメンタリをフィクションに流用してそこそこ巧くいった是枝裕和『ワンダフルライフ』にしても,偽ドキュメンタリをメタフィクションに流用しようと欲張って失敗した葉山陽一郎『サル』にしても,
 やり方が貧乏臭くて.... 強靱な虚構性ないし演出力で貧乏臭さを払拭して欲しかった.
×北野武『座頭市』
 殆ど思考の痕跡がない脚本から察して,単に血塗れの殺陣シーンをやりたかっただけなんだろうけど,それだけじゃ流石に殺伐なもんだから,滑りまくりのギャグと集団タップダンスの大団円を加えて一丁上がり――って,安直すぎないか? これで「娯楽映画」を自称するのは勝新に失礼じゃないのか.
○バリー・スコルニック『ミーン・マシーン』とジョエル・ハーシュマン『グリーンフィンガーズ』
 どちらも刑務所が舞台の英国映画で,一目置かれてる老囚人役が同じ役者(デヴィッド・ケリー)なもんだから,時間が経って記憶が混同してしまったんだけど,前者はサッカー,後者はガーデニングのお話だった.出来は後者の方が良い.
△フランソワ・オゾン『スイミング・プール』
 ミステリ映画と銘打っているが,精々心理サスペンスであろう.映画だから観るに耐えるが,小説だったらバカミス以下だろ,と思ったが,既に監督自身が小説化していたのだった.... 是非とも読むまい.てんこ盛りのエロサービスは空回りしているような気がする.
△マーティン・スコセッシ『レイジング・ブル』
 実話に基づくボクサーの半生記らしいが,結局,撮影中に実際に25kg幅で太ったり痩せたりするデ・ニーロの役者馬鹿ぶりを堪能すべき作品である.
△石井克人『鮫肌男と桃尻女』
 我修院達也(旧・若人あきら)の怪演のみが見所.望月峯太郎原作ものとしては『ドラゴンヘッド』より遙かにマシだが,最も映画化しやすそうなホラー『座敷女』が未だ撮られてないのはなんでだろう――ラジオドラマにはなったようだが.
○ビリー・ワイルダー『アパートの鍵貸します』
 30年ぶりぐらいに観たが,意外に暗いシチュエーションコメディだったんですね....
○ジェームズ・アイヴォリー『眺めのいい部屋』
 20世紀初頭の英国がかなり真に迫って再現されているところだけでも興味深く観られる.
○ジョエル・ズウィック『マイ・ウェディング』
 シカゴのギリシャ人コミュニティ側から観た「ダーリンは米国人」てな感じの結婚コメディ.熊本の大家族の次女が東京の核家族の一人息子と結婚するみたいなもんでしょうか.
○スティーヴン・ダルドリー『めぐりあう時間たち』
 原題 "The Hours" は素っ気なさすぎるし,邦題はロマンチックすぎる.実際は辛気くさいフェミ?映画.『クローン・オブ・エイダ』に似てるって印象.フィリップ・グラスの音楽が安っぽく,昼メロの劇伴みたい.
 1923年,ヴァージニア・ウルフ(ニコール・キッドマンwith付け鼻)が入水自殺する当日と,1951年,彼女の小説の読者であるインテリ主婦(ジュリアン・ムーア)が睡眠薬自殺しようとして未遂に終わる当日と,現代(2001年あたり),そのムーアの息子であるエイズの詩人(エド・ハリス)がパートナーの編集者(メリル・ストリープ)の目の前で飛び降り自殺する当日を,並行して描いた巧緻な作品.原作は未読だが,恐らくより複雑な構成なのだろう.
 その他.○フランシス・コッポラ『ゴッドファーザー デジタル・リマスター版』,△やすみ哲夫『映画あたしんち』,△クリストファー・ノーラン『インソムニア』,△アンドリュー・ニコル『ガタカ』,△ダニー・ボイル『シャロウ・グレイブ』,△ルイ・マル『ビバ!マリア』,△トーマス・ヤーン『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』等々.

[書かないことによって示す]
 坪内祐三が「ダカーポ」に連載している『酒日誌』には,時折唐組の話題が出てくるが,「唐組芝居を観,打ち上げに参加」程度の記述で,芝居の内容については全くコメントがない.
 何かと語りたがる筆者が敢えて何も書いていないことから,「ああ,詰まらなかったんだな」と察することができる訳である.

2004/07/05 GESO


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