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記事No : 254
タイトル 2009/11/26■173 確かに10円はひどいがあれは売る場所ではなく買う場所だ
投稿日: 2013/10/05(Sat) 21:13:23
投稿者管理人

[酉の市]
 花園神社で二の酉.もんのすごい人混み.綾波レイだの何だののフィギュア系熊手に混じって倶利迦羅紋紋のドデカいキューピーがあったりしてもう何でもありの世界みたいだが売れ筋は結局オーソドックスな熊手みたい.でもなんたって見るべきものは見世物小屋.19歳デビューから3年今や業界の救世主・見目麗しい小雪太夫が悪食と称して生きた蛇の血を吸いボリボリ生齧り.前の舞台で頭部を完食され胴体だけになった蛇のためやや迫力不足で残念.今年は気候不順のせいで蛇の仕入れ数が足りなかった由.鼻から口に鎖を通す芸を見せてくれなかったのも残念.デビューして3回目の舞台だという新人・渋谷パギャル系ぴょん子ちゃん?――見た目は小雪嬢より老けてるが一応20代前半か――の火吹き芸は陽気に盛り上げてくれた.今は亡きライバル見世物小屋の座長から譲り受けたという秘蔵品・二つの頭が接合し胴体は一つという畸形双生児の牛のミイラを披露.その古びた質感は鰹節に近い.空っぽに見える大箱の中からいろんなものが飛び出して来るありがちなマジックの最後に若手二人に芸を取られて暇を持て余してるベテラン・お峰太夫が縫いぐるみの蛇を纏って出現.本物の蛇を使わなかったのは成長しすぎて箱に仕込めなくなったからとのこと.最後はオーストラリア生まれとかいうそのデカいニシキヘビを披露.舌をチロチロさせて可愛い.前列のお客さんたちは触らせてもらえて羨ましい.金運のお守り・蛇の抜け殻を千切ったのがお土産に配られる.早速財布に入れたが未だ効果なし.数年前に観たときよりも出し物の数が減ってて――犬芸コーナーとかがなかった――寂しかったけど若手も加わって蝋燭の最後の輝きを見せてる感じ.見てのお帰りのお代は近年ずっと800円.

[涜書の秋]
 10月は一冊も本を買わなかった――雑誌を除く――が,11月はなんぼか買った.続きものの漫画が多いけど.
 野村宗弘『とろける鉄工所 3』(講談社イブニングKC 2009)・武富健治『鈴木先生 8』(双葉社 2009)・芳崎せいむ『金魚屋古書店 9』(小学館IKKI COMIX 2009)・日本橋ヨヲコ『少女ファイト 6』(講談社イブニングKC 2009.DVD付き特装版)・東陽片岡『ほどよい男たちのバラード』(秋田書店 2009)・同『ステテコ行進曲』(青林工藝舎 2009)・川上よしお『おちけん』(双葉社 2009)・原宏一『ヤッさん』(双葉社 2009)・山田正紀『帰り舟 深川川獺界隈』(朝日文庫 2009).
 東陽片岡はもうデビューして15年なのか.川上よしおの絵は誰かに似ているようで誰にも似てなくて良い.原宏一の最新作は今までで一番ベタな人情噺だけど良い.etc.
 神田古本市はゆっくり見られず,鮎川哲也・島田荘司編『ミステリーの愉しみ1 奇想の森』(立風書房 1991)を買ったのみ..乱歩・小酒井不木・本田緒生ら「本格の黄金時代」の作家計18人の代表作を収録したアンソロジー.昔高円寺の図書館で借りたことを思い出し懐かしくて,つい.400円は安いと思う.
 積ん読にしてた柄刀一『ゴーレムの檻』(光文社文庫 2008.親本 2005)と島田荘司『ロシア幽霊軍艦事件』(原書房 2001)を続けて読了.いずれも「奇想」の作家だが,取り分け島田作品の歴史的想像力には感服.
 図書館から借りた津原泰水『ルピナス探偵団の憂愁』(東京創元社 2007)と『たまさか人形堂物語』(文藝春秋 2009)も印象深い.『ルピナス』は現在から過去に遡る連作集だが,筆力に自信がなければ出来ない構成だ.シリーズ2巻のみで完結なのは寂しいが,潔くもある.『たまさか』も一冊で完結の連作集だが,ハッピーエンドに安堵したのは久し振り.
 川上弘美『神様』(中公文庫 2001.親本 1998)は,何かのアンソロジーで表題作だけ読んで感心した記憶があるが,他の作品も良かった.寓意のない寓話/目覚めて見る夢のような連作集.「離さない」は怪談としても秀逸.
 詰まらなかったのは浅暮三文『ぽんこつ喜劇』(光文社 2008).「実験作」を名乗る小説に面白いものなし.浅暮は『カニスの血を嗣ぐ』や『石の中の蜘蛛』あたりは良かったんだけどなぁ...
 北村薫『夜の蝉』(創元推理文庫 1996.親本 1990)は,「人間が描かれていないなんて言わせない」と言わんばかりの繊細な心理描写で,優れたミステリであることは認めざるを得ないものの,読んでて何故かイラッとする.
 坂口安吾『不連続殺人事件』(角川文庫 1974.親本初版 1948).昔読んだ筈だが内容を全く忘れていたので,また楽しめた.忘却の効用.確かに狡知に長けた作品で,犯人を当てるのは難しいわな.
 服部まゆみ『レオナルドのユダ』(角川文庫 2006.親本 2003)は,ほぼ聖人に近い天才として描かれるレオナルド・ダ・ヴィンチを巡る愛憎劇.見てきたような嘘を書いてリアル.服部まゆみには作品をもっと遺して欲しかった.
 ベルナール・ウェルベル『蟻』(角川文庫 2003.親本 1995)で蟻萌え〜.独自の進化の途を辿った賢い蟻さんたちと人類が最初の出逢うまでを描いた一種のユートピア小説.スウィフトに較べると楽観的なるも不安な終わり方をして「続く」.続きを読まねば気が済まないってことで,続編2冊を図書館に予約.解説の養老孟司は非科学的な部分が気になるのか渋々褒めてる感じで,可笑しい.

[死]
 加藤和彦の自殺には衝撃は受けなかったが,吃驚はした.
 いろんな人のコメントを目にしたけど,富澤一誠――音楽評論家ということになってる――の談話には失笑した.引用.
「2カ月ほど前、日本レコード大賞の会議で会った時は、いつもの元気な発言をしていたので信じられない。「帰って来たヨッパライ」で早回しを取り入れるなど、常に音楽の最先端を走り続けた。音楽業界が混迷している現代、羅針盤を失ってしまった。「J-POPの巨人墜つ」という思いがする。」
 ...テープの早回しって「音楽の最先端」だったんですか.ぷふい.
 大里俊晴の逝去には衝撃を受けた.今はただ哀悼するのみ.

2009.11.27 GESO


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