記事No | : 503 |
タイトル | : 2011/01/06■188 目出度くもなし(再録) |
投稿日 | : 2023/01/21(Sat) 16:08:37 |
投稿者 | : geso < > |
[元旦の夢]
風呂場のシャンプーが切れてて慌てる.シャンプーそっくりの容器はあったが,中に入ってたのは浴槽用洗剤だった...という,実に詰まらない夢.
[初夢]
沢山見たがすっかり忘れた.
[お正月行事]
元旦は例年の七福神巡り.今回は手を抜いて近場の「雑司が谷七福神」で済ませた.昨秋発足したばかりの新しいコースで,有り難みはやや少ない.
此処は鬼子母神縁の地ゆえ,七福神に吉祥天を加えているのには目を瞑るとしても,寿老人が抜けているのは如何なものか.吉祥天では代わりにはならぬだろうに.
[お正月映画]
○マシュー・ボーン『キック・アス』(2010.英・米)
ちょっと捻ったスーパーヒーロー映画だが,基本的にはお約束で出来ている.それでも歯切れが良く痛快.
ナード高校生がコスプレで演じる非力なヒーロー「キック・アス」(アーロン・ジョンソン)が一応主人公だが,「ビッグ・ダディ」(ニコラス・ケイジ――ところで,ジョン・ケージの表記はなんで「ケイジ」じゃないのか?)とのヒーロー父娘タッグで悪党を殺しまくる小学生「ヒット・ガール」(クロエ・グレース・モレッツ)が実質的な主役.この娘が強暴なのと美少女じゃない所が良い.楽曲にさりげなくスパークス,ニューヨーク・ドールズ,エンリコ・モリオーネ等が使われてる所も○.
ビッグ・ダディのコスチュームがバットマンに似すぎなのと,ヒット・ガールの顎が出っ張りすぎなのが気になったが,それ以外は特に文句ない.
「残酷」「不道徳」(そのとおりである)と非難する方々もいるらしいけど,それが良識的なだけで的外れ――要は野暮――な見方なのは言うまでもない.
日本で映画化されて然るべきヒーローものという気もしたけれど,山本康人『打撃天使ルリ』みたいなバイオレンス漫画も結局ヌルいテレビドラマにしてお茶を濁す風土じゃ無理か...
日本で作るとしても,例えば次のような壁にぶち当たりそう.
・11歳の女の子に徹底的に殺戮マシーンを演じさせること→抗議を恐れて自主規制するのでは.
・切れのいいアクションシーンの連発→できる役者がいないのでは.VFXだけでは誤魔化しきれないだろう.
・結構カネをかけてるのにわざとB級っぽさを強調した演出→そんな余裕は見せられないのでは.
R指定(本作はR15)に限って言えば日本は米国よりやや緩そうなものの,高校生のオナニーやセックスをこんなにあっけらかんと描けるかどうか...
[お正月小説]
△貫井徳郎『失踪症候群』(双葉文庫 1998.親本 1995)
△同『誘拐症候群』(双葉文庫 2001.親本 1998)
○同『殺人症候群』(双葉文庫 2005.親本 2002)
症候群三部作.最初の2冊は既読だが,大分前に間を空けて読んだので,内容はすっかり忘れていた.こういうシリーズこそ一気読み向き.冷静に考えれば相当無茶な設定――現代版「仕事人」みたいな話ですから――なのに一気に読ませてしまう所は,筆力があるということであろう.
一,二作目も悪くはないが,三作目がベスト.でも,三作目の解説で梅原潤一が述べているとおり「作家としての驚くほどの成長ぶりが手に取るように分かる好テキストでもあるから」,やはり順を追って読む方が楽しめる.
三作目の結末には正直不満もあるが,作者の真面目さを思えばこれ以外の終わらせ方はなかったようにも思われる.
因みに,梅原は自作の手書きポップで貫井の『慟哭』を売りまくった有隣堂の名物店員だが,この人の解説文はプロ書評家の解説よりも余程的確で,信用するに足りる.
○南條竹則『魔法探偵』(集英社 2004)
今回は主人公がビンボー詩人兼探偵で,舞台が千住界隈なので,飲み食いは珍しく中華料理ではなくモツ系とチューハイがメインである.実在の居酒屋が多数登場するので親近感あり.捜し物の依頼を受け,ひかり号で1970年の大阪万博会場に赴くなど,ノスタルジー濃厚.
これで南條さんの積ん読分は読了.あとは図書館で借りよう...
[お正月音楽]
そんなものはないが,年の初めコーマス『ファースト・アッタランス』(1970)を久々に聞いた.どす黒くて全然お正月向きではないが,名盤ではある.セカンドよりもやはりこっちね.
[お正月もやしもん]
マリーと結城がくっつくとは... 意外な展開は大歓迎.
2011.01.06 GESO