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記事No349   [関連記事]
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記事No347   [関連記事]
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タイトル2012/11/06■196 再びここ一か月の覚書
記事No277   [関連記事]
投稿日: 2013/10/05(Sat) 21:44:05
投稿者管理人
○川瀬七氏wよろずのことに気をつけよ』(2011 講談社)
 江戸川乱歩賞受賞の呪術ミステリ.京極夏彦の選評が冷淡だったのは自著と重なる点があったからだろうか.探偵役の仲澤大輔は呪術研究に傾倒する文化人類学者で住まいは中野という設定だが中禅寺秋彦が住んでた近所なのかも.ミステリとしては荒削りだけれど少なくとも『陰摩羅鬼の瑕』以降の京極堂シリーズよりは面白い.

○同『147ヘルツの警鐘 法医昆虫学捜査官』(2012 講談社)
 デビュー二作目は女性法医昆虫学捜査官を探偵役にした警察小説.ニッチを狙っているが題材が特殊なだけに長期シリーズ化は難しいかも知れない.もっと細部を書き込んでほしい憾みもあるけどキャラの立て方も読みやすさも新人としてはかなりなもの.

△美内すずえ『ガラスの仮面 49』(白泉社 2012)
 マヤと桜小路はぎくしゃくしたままだし亜弓は盲目のままだし紫織は狂ったままだし速水は結果的に優柔不断なままだし相変わらず話がなかなか進まぬ...

○ヤマザキマリ『テルマエ・ロマエ V』(エンターブレイン 2012)
 前巻に続きルシウスは現代日本に長期滞在中で古代ローマへはちょっとしか戻れない.今回のお話は温泉地を巡る新旧ヤクザの諍いが中心で『まむしの兄弟 お礼参り』を思わせる.次巻で大団円か?

○海堂尊『極北クレイマー』(朝日新聞出版 2009)
 福島県立大野病院産科医逮捕事件(2006年)と夕張市の財政破綻(2007年)をモデルにして北海道の架空都市「極北市」の市民病院を舞台に描いた医療エンタメ.お騒がせキャラ姫宮香織が登場するドタバタシーンを除けば結構リアルかつヘヴィ.

△清水義範『迷宮』(集英社文庫 2002.親本 1999)
 確かに挑発的な叙述ミステリではあるが解説の茶木則雄が絶賛しているほど画期的な作品とは思えない.巧みな「文体練習」だけでは「客観的事実は存在するのか?」「他人の考えを理解することは可能なのか?」といったハードなテーマを扱うには不充分だしミステリ的意外性ももうひとつ.

○赤江瀑『ポセイドン変幻』(集英社文庫 1994.親本 1975)
○同『夜叉の舌』(角川ホラー文庫 1996)
 前者は6編後者は10編を収録.作品の多くは要約すれば「何かに取り憑かれた人間が快楽の果てに滅びる物語」という凡庸な内容になってしまうが小説の梗概を述べても実は余り意味はない.要約すれば済むような小説も世には多数あるが少なくとも赤江のような幻視者の手に成る作品は文章をじっくり享楽する以外の読み方は考えられずそもそも要約や速読の対象とはなり得ないのだ.

△井上夢人『ラバー・ソウル』(講談社 2012)
 世にも醜い男が片思いの女をストーキングし彼女に近付く男たちを次々に殺してゆく――言ってる傍から要約してしてしまった――という陳腐な物語をこの作家が書く訳はないので最初から眉に唾を付けて読んだが... 清水義範『迷宮』と東野圭吾『容疑者Xの献身』を想起せずにはいられなかった.前者を本作の直前に読んだのは全くの偶然だがそれは別にして類似点は多い(省略).後者を想起した理由は幾つかあるがその一つは読者の同情を買って感動作と言わせようとする嫌らしい手口が共通しているからである.ミステリとしては前者よりは上で後者とは引き分けくらいだと思うがどうもアンフェアぎりぎりな感じで心地よく騙された気はしない... 折原一が書けば見出しや文章の表記にもっと「手掛かり」を散りばめて読者を挑発してくれるんじゃないだろうか.

△桜庭一樹『少女七竈と七人の可愛そうな大人』(角川文庫 2009.親本 2006)
 なーんだ『私の男』と同じじゃんという印象.解説(というよりエール)を古川日出男が書いているがこの二人は作風がよく似ている.どちらも技巧的だし面白いし実在の地方都市を舞台にするなどそれなりのリアリティも演出しているのだがどちらの作品も嘘臭くてつい佯狂を観察する目で読んでしまう.巧さを感じさせてしまう巧さは本当の巧さとは言えないのではないか.

○上田早夕里『魚舟・獣舟』(光文社文庫 2009)
 幻覚の輪郭が明瞭なのがSF小説/曖昧なのが幻想小説であって基本的に相容れないものだと思うが稀に両立することもある.長編向けのアイディアが惜しみなく投入された本作品集――短編4+ショートショート1+中編1――は全編その見事な例.

○吉田大八『桐島、部活やめるってよ』(2012 日)
 原作は未読なので何とも言えないが映画版は『桐島を待ちながら』と題してもよさそうな作品.多視点で高三生たちの一週間を描く群像劇だが会話や行動のリアルさ――俺は高三じゃないから無論想像上のリアルさだが――に感心.予想外の面白さだったので同監督の過去の作品にも注目.

○内田けんじ『鍵泥棒のメソッド』(2012 日)
 過去の2作品と較べると意図的にシンプルかつベタに作ってあるが伏線を生かし切る無駄のない作り方は変わらず(良くも悪くも)予想どおりの面白さ.

△西川美和『夢売るふたり』(2012 日)
 夫婦で結婚詐欺する話.この監督の描く「リアルさ」には首を傾げたくなる部分も多いのだがまずは面白い.個人的に冒頭の居酒屋炎上シーンに――焼鳥があんなに燃えるかという疑問はさておき――高円寺石狩亭全焼事件を思い出して寒気がした.

○園子温『希望の国』(2012 日)
 結局ここでも描かれるのは「家族」かよといささかウンザリしないでもないし辻褄が合わない箇所もあるしあからさまな反原発/反国家映画だけに制作の資金繰りに苦労したんだろうなと思わせる所もある.だが今これを作らねばならぬという熱意がひしひしと伝わるのでじっくり観ない訳にはいかない.本作も他の作品も監督自身が宣言するほど破壊的ではなくむしろオーソドックスだからエンタメとして成立しているのだと思うが.

△11/03足立市場 ジョン・ケージ「ミュージサーカス」芸術監督:足立智美
 musicircusはケージが1967年に発表したコンサート形式で「さまざまな音楽がお互いに自立しながら、同じ時間と空間を共有して、響きあう状態」というもの.今ではフジロックのような大規模野外コンサートも大概そういう形式だと思うがそれは結果であって発想自体は異なる.フジロック等が複数ステージで同時進行する形を採っているのは限られた時間と空間に多数の出演者を投入するためにはそうせざるを得ないという実際的/効率的な理由があるのだろうがmusicircusのほうは本来「すべてが美しく共存していく」新しい社会モデルを意図したものなのである.
 しかし現実の「ミュージサーカス」は音楽に限定されない様々なジャンル――サンバ/ちんどん/お囃子/スタンダードジャズ/フリーミュージック/ノイズ/アシッドフォーク/空手/大道芸/クラシック/炊き出し/津軽三味線/一人芝居/タップダンス/ママさんコーラス/印度音楽/etc.――のパフォーマーが割り振られた時間+空間枠を従順に受け容れて粛々とパフォーマンスを繰り広げるイヴェント以上のものではなかった.公共空間の空き時間を有効活用しましょうという行政サービスを利用した屋外フェスティヴァルの一つに過ぎないということだ.それはそれで楽しめたけれど「新しい社会モデル」とはほど遠く学園祭と大して変わらない.
 因みに今年はケージ誕生百年記念ということで世界中でお祭りが開催されているらしくブライアン・イーノも3月に倫敦でMUSICIRCUSを催し,John Paul Jones,Michael Finnissy,Edward Gardner, the ENO Community Choir, ENO Opera Works singers, an intriguing collective of professional and amateur talentsが出演したという.新しい社会モデルは提起されたんだろうか――まさかね.

 横溝正史『病院坂の首縊りの家』を読んで違和感を覚えたのは時代設定が昭和28年(1953年)なのに「マスコミ」という言葉が出て来ることだったがこれはやはり考証の誤りだったみたい.「マスコミ」という略語は大宅壮一が1962年頃から使い始めた造語らしい.横溝は現実の事件が起こった年月日を作品中に明記し当時の世相を活写することでリアリティを醸し出していたがときにはこうしたミスもあったということ.

2012.11.06 GESO

タイトル2012/10/08■195 ここ二か月の覚書
記事No276   [関連記事]
投稿日: 2013/10/05(Sat) 21:36:37
投稿者管理人
 二十年以上前になるが一度だけ猫の集会を見たことがある.阿佐谷の公園を深夜散策中に遭遇したのだが確かに不可思議な光景だった.大勢の猫たちが――数えなかったが二十匹はいた――割と広い輪になって集まり鳴き声を交わすこともなくただ黙って中心部付近を――猫によってはあらぬ方向を――見つめているだけ.いつ解散するのか分からないので十分ほど観察してからあぁいいものを見たなぁと思いつつ立ち去った.
 猫同士が理解し合えるものかどうかは疑わしい――人間同士でも理解し合えることは稀だし.ましてや基より異種である人間と動物とが理解し合うのはまず無理であろう.精々誤解の上で仲良くしたり敵対し合うことしか出来ないだろうし現にそうしているのだと思う.
 しかし理解不能なものを無理矢理理解することも拒否することもないのではないか? 理解不能を前提として共存する可能性を考えればいいのではないか?
 そもそも一つになり得ない世界を無理矢理一つにしようとすることこそ傲慢で有害無益なのではないか?

 世界(中国を除く)で一番人気の生臭坊主=ダライ・ラマ14世の外見的な親しみやすさに騙される善良な人間が多いことには驚く.彼が説いてることなどそこら辺のチャラい心理カウンセラーと大差ないのに.
 要は現実の不幸は人間にはどうしようないことだから運を天に任せて我慢しましょうね幸不幸なんて気の持ちようなんですからという現状肯定=為政者にとって好都合な奴隷思想.輪廻転生説なんてものは彼岸の幸福という空手形と引換えに現状肯定を勧める悪徳セールストークに過ぎないのに.
 まぁ彼がダライ・ラマになれたのは凄い籤運であるしチベット仏教の輪廻転生制度でしか説明がつかないということで本人は納得しているのかも知れないけれど他人に勧められるような話ではない――信じる者は勝手に巣食われるがよいが.
 兎も角ラマは事実上中国-チベット間の政治問題を宗教で解決することができず――できる訳がない――亡命した訳で今彼を生き延びさせているのは中国と敵対しないまでも中国を牽制したい諸勢力でありその庇護下にあるラマ本人には宗教を隠れ蓑に温い発言をし続けることしか出来ない道理である.


○田中克彦『国家語をこえて−国際化のなかの日本語』(ちくま学芸文庫 1993.親本 1989)
 著者はかなり極論の人なのでこれまで読んだ著作と同様に共感と反発の両方を感じる.でも面白い.

△海堂尊『ナイチンゲールの沈黙 上下』(宝島社文庫 2008.親本 2006)
○同『螺鈿迷宮 上下』(角川文庫 2008.親本 2006.各105円)
○同『ジェネラル・ルージュの凱旋 上下』(宝島社文庫 2009.親本 2007)
△同『イノセント・ゲリラの祝日 下』(宝島社文庫 2010.親本 2008)
○同『ブレイズメス1990』(講談社文庫 2012.親本 2010)
△同『ブラックペアン1988』(講談社 2007)
○同『ジーン・ワルツ』(新潮文庫 2010.親本 2008)
△同『外科医 須磨久善』(講談社 2009)
 なるほど医療エンタメ小説(『外科医 須磨久善』はノンフィクションだが)の王道を歩んでいるのだな.白鳥-田口シリーズにはやや悪ノリ感があるが他のシリーズは意外にシリアス.

×金沢伸明『王様ゲーム』(双葉文庫 2011.親本 2009)
 人気ホラー小説らしいが物語としてはかなり雑.「善人ぶって」のつもりで「偽善者ぶって」と表記するなど言葉遣いも変.

○連城三紀彦『夢ごころ』(角川文庫 1991.親本 1988)
 『雨月物語』から本歌取りしたモダンホラー12編.こうした端正な短編も書けば『造花の蜜』のようなトンデモに近い長編ミステリも書く幅の広さがこの著者の魅力.

△赤江瀑『舞え舞え断崖』(講談社文庫 1989.親本 1981)
 相変わらず見事な出来映えの6編ではあるけれど「えっここで終わり?」と感じるものが数編ある所為でやや欲求不満.でもこの人も今は亡い... もっと読みたい.

○ろくでなし子『デコまん』(ぶんか社 2012)
 美容整形手術を受けた自分の性器の型取りを基に「まんこアート」を製作している漫画家の自伝ギャグ?漫画.アニー・スプリンクルやチチョリーナを想起せずにはいられない.嫌悪感を感じる読者も多いだろうが単なるキワモノとは違う根の真面目さと本人にとっての必然性は感じられる.本作の前に百田尚樹『モンスター』を読んでいた所為かも知れないが.

○池上永一『シャングリ・ラ』(角川書店 2005)
 筒井康隆+荒俣宏的近未来ディストピアSF.大風呂敷ご都合主義的漫画的な所やキャラの作り方は後の『テンペスト』と同様.好き嫌いは分かれるだろうがこれだけ好き勝手にやってくれたらむしろ爽快.

○岸本佐知子『ねにもつタイプ』(筑摩書房 2007.ちくま文庫2010)
 正気と狂気/夢と現実の境界の曖昧さに気付かせてくれる共感度の高いエッセイ集.文庫版のほうが4編追加でお得.

○『野坂昭如ルネッサンスE 骨餓身峠死人葛』(岩浪現代文庫 2008)
 「焼け跡派」と称されていただけあって全ての収録作に太平洋戦争が影を落としている.しかし松本健一が指摘するとおり戦時だろうと平時だろうと世界は常に夥しい死者の犠牲の上に生者が君臨していると見る著者の史観は一貫している.傑作揃いだが表題作――教科書に採用するなら「火垂るの墓」よりもこっちだ ――が余りに傑出しているために他の作品が地味に見えるのが残念.

△海堂尊『死因不明社会』(講談社ブルーバックス 2007)
 ノンフィクションの体裁を採っているがAi(死亡時画像病理診断)を中核とした医療システム再構築を訴えるあからさまなプロバガンダ本である.これだけ首尾一貫して旗幟鮮明な作家も珍しい.

○寒川旭『日本人はどんな大地震を経験してきたのか 地震考古学入門』(平凡社新書 2011)
 巻末の年表を見れば大きな地震の回数が1990年代以降グンと増えていることは瞭然.日本列島自体が地殻変動によって出来上がった地表の皺みたいな存在なんだからここにいる限りどこに逃げようと――例えば熊本に逃げようと――安全とはいえない.もっとも全地球規模でも地殻活動は活発化してるみたいだから海外に逃げたところで安全ともいえないが.それならば地震は必ず起きるものと観念し起きた際の被害を最小限に留めることに注力すべきでありそのためには過去の大地震の様相を研究することが重要という至極もっともな主張なのでした.

△竹内薫『99.9%は仮説』(光文社新書 2006)
 とはいえプレートテクトニクスもまた仮説にすぎない.常識と見なされているものの殆どは仮説でしかない.例えば飛行機を飛ばすことはできても何故飛ぶのかという原理についての決定的な説は未だにない.健全な懐疑心と相対主義の必要性を説く本書は首肯できる内容だが入門書的すぎてやや物足りない.

○式貴士『窓鴉 式貴士抒情小説コレクション』(光文社文庫 2012)
 『カンタン刑』(光文社文庫 2008)の解説を読んで平山夢明が式貴士にいかれていたことが分かったが本作解説で瀬名秀明もやられていたことが判明.エログロとセンチメンタリズムを矛盾なく両立できる所は筒井康隆を思わせる.式の作家デビューは筒井より17年ほど遅いが(1977年)年齢は一歳年上(1933年生まれ).近いセンスだったのかも知れない.

○横溝正史『病院坂の首縊りの家』(角川書店 1978)
 ミステリとしてどうのこうの以前に本作は金田一耕助最後の事件だということ――あぁもう耕ちゃんには会えないのだという喪失感を与えられること――だけで感慨深い.「横溝正史の小説世界の、最大の特徴であるところのものは、ストーリイの変幻自在や心理の綾ではなくて、この、鮮烈な具象性、イメージそのものである。」(栗本薫)というのはそのとおりだと思う.例えば11月26日は何の日かというと横溝の読者にとっては何を措いても「本陣殺人事件」が起こった日なのである...

映画
△ジャン・ルノワール『ゲームの規則』(1939 仏)
 英題も "The Rules of the Game" だというし原題 "La R?gle Du Jeu" の "jeu" を「ゲーム」と訳すのは正しいんだろうけどニュアンスが違う気がする.より広義に「遊びのルール」ぐらいに捉えた方がいいのではないか.それは兎も角当時の仏蘭西階級社会の情況を実感的に理解し得ない身にとっては心底理解することは難しい気がした.

○ジャン・ルノワール『フレンチ・カンカン』(1954 仏)
 復元長尺版.初めて観たのに既視感ありありの場面が多いのは本作をパクった映画のほうを沢山観てきたからなんだろうと思わせるお約束シーン満載の芸能映画.聖林よりも日活よりもオトナなところがお仏蘭西らしいざんす.

△ヴェルナー・ヘルツォーク『世界最古の洞窟壁画 忘れられた夢の記憶』(2010 米・仏)
 取り敢えず壁画自体は面白い.絵画は人類の進化に伴って発展してきたものではなく三万年前も今も巧い人は巧い/センスがある人はあるということが分かる.だが何でヘルツォークがこうしたドキュメンタリーを撮ったのかは謎.最後に洞窟に程近い場所にある原発や放射能の影響で生まれた(?)アルビノの鰐を出してくるあたりは思わせぶりだが.

○ヤン・ヨンヒ『かぞくのくに』(2012 日)
 自分の頭で考えること自体が処罰の対象となる北朝鮮/自分の頭で考えたことが多数派に属していないと段階的に処罰される日本.

△大林宣彦『この空の花−長岡花火物語』(2011 日)
 太平洋戦争と長岡花火との関わりを描く映画として制作開始された映画の撮影中に起こった東日本大震災を後から物語に組み込んだために分裂的な内容になってしまった.それを力業で纏め上げたところが大林ならではと思わせる怪作.

○ターセム・シン『白雪姫と鏡の女王』(2012 米)
 最初から最後まで楽しめる白雪姫映画の最高傑作? 極悪女王を演じるジュリア・ロバーツが実に楽しそう.ティム・バートンふうだが昨今のティム作品よりも面白い.

鑑賞
△豊島みみずく資料館
△旧江戸川乱歩亭特別公開
○弥生美術館「大伴昌司の大図鑑展」・竹久夢二美術館「夢二と大正時代 III」

2012.10.08 GESO

タイトル2012/08/05■194 ここ一か月の覚書
記事No275   [関連記事]
投稿日: 2013/10/05(Sat) 21:35:29
投稿者管理人
映画
○シャンカール『ロボット[完全版]』(2007 印)
 「自我」を持ったロボットを巡って人間が右往左往する物語自体はごくベタでパンフ記載の惹句のような「ワケわからん」ものでは全くないが印度映画独特の「変」なお約束――必然性なく挿入される数々のミュージカル場面など――を保持しつつ聖林映画を完璧に咀嚼しド迫力アクション場面も天こ盛りにした娯楽大作.少なくとも近年の聖林映画よりは面白い.

○白尾一博『ドキュメント灰野敬二』(2012 日)
 スタジオ練習――と言うよりも「修行」――と生演奏の場面以外は殆ど本人へのインタヴューで構成された『全身灰野敬二』とでも言うべき記録映画.愛聴する音楽と演奏する音楽との間に全く乖離を感じていないと思しき本人の自信或いは傲慢が至極眩しい.灰野を全く知らない人にこそ楽しんで欲しい作品だが何故/何時から常に黒眼鏡を掛けるようになったのかという誰しも感じるであろう疑問に答えてくれない点のみ不満.

△堤幸彦『エイトレンジャー』(2012 日)
 関ジャニ∞は好きだけど監督は堤か... テレビ上がりの監督が作る映画は画面を大きくすれば映画になるだろう程度のスケール感に留まるものが多いので全然期待しないで観た割にはヒーローもののツボは一応押さえていたから安い『ダークナイト』『キック・アス』ぐらいには楽しめた.三池崇史版『ヤッターマン』のDVDを今度借りてどっちが面白いか較べたい.自分が結構ベッキー好きだと分かったのが発見だったが多分松岡きっこ・真理アンヌ系統だからなんだろうと分析.


○三上延『ビブリア古書堂の事件手帖〜栞子さんと奇妙な客人たち〜』(メディアワークス文庫 2011)
○同『ビブリア古書堂の事件手帖2〜栞子さんと謎めく日常〜』(メディアワークス文庫 2011)
○同『ビブリア古書堂の事件手帖3〜栞子さんと消えない絆〜』(メディアワークス文庫 2012)
 古書を扱ったミステリといえば愛書家が殺し合う殺伐としたものを思い浮かべるがこれは「日常の謎」もの.本の虫で極端に人見知りな古書店主人の女性が安楽椅子探偵役でそこで働く本アレルギー――好きだけど読めない――の青年が語り手.ラノベ作家は流石にキャラ創りが巧い.たまにはこういう心和むミステリもいい――時々殺人事件も起こって欲しいけど.巻が進むに連れて雰囲気が暗くなっている所が少々気懸かり.

△東川篤哉『謎解きはディナーのあとで』(小学館 2010)
 お嬢様刑事に仕える執事による これも安楽椅子探偵もの.予想していたほど酷い作品ではなかったが矢張りこの作者のユーモア感覚とは相性が合わなくてイラッとする所が多い.

△百田尚樹『モンスター』(幻冬舎文庫 2012.親本 2010)
 ベタな物語ながらヒトの外見の「美醜」とは何なのかタブーを超えて考えさせる問題作.美容整形を考えている人は必読.

○有川浩『塩の街』(角川文庫 2010.親本 メディアワークス 2007)
 併録のサイドストーリー4短編は甘ったるすぎるが表題の長編デビュー作には感心.

△喜多喜久『ラブ・ケミストリー』(宝島社文庫 2012.親本 2011)
 惹句「理系草食男子のラブコメ&ミステリー」どおりの内容.ミステリ要素は希薄だが後味は良い青春小説.

○海堂尊『アリアドネの弾丸 上下』(宝島社文庫 2012.親本 2010)
 シリーズものは律儀に順を追って読むことにしているので1作目『チーム・バチスタの栄光』しか読んだことがないのに(←感想は「まぁまぁ」)間を飛ばして5作目を読むのは例外的なこと――たまたまそういう機会に巡り会っただけだが.結果的に本作はファンサービスの過剰さ/旧作を読んでいないと分かりづらいという欠点を持ちながらも島田荘司が解説で言うように本格ミステリとして充分面白かった.関係者を一堂に集めて探偵が理詰めで真犯人を追い詰めるというお約束の場面に俺の中のアナクロミステリファンがグッときたのだと分析.
△同『夢見る黄金地球儀』(創元推理文庫 2009.親本 2007)
 この作者による初のノンシリーズ作品とのこと.解説の香山二三郎が言うように確かに「いささか悪ノリ」で書かれた犯罪喜劇小説だが冗句の山の中に伏線を紛れ込ませているから油断はならない.

○カミラ・レックバリ『エリカ&パトリック事件簿 死を啼く鳥』(集英社文庫 2012.原著 2006)
 シリーズ4作目.ミステリとしても群像劇としてもとても面白く早く続きが読みたくなる.本国ではこの後既に4作出ているようだが翻訳が追いつかないのが歯痒い――瑞典語の翻訳家が少ないからだろうけど.テレビ映画版の放映も要望.

○榎並重之『ニーチェのように考えること――雷鳴の轟きの下で』(河出書房新社 2012)
 俺が今まで正気を保てたのは――つまり社会による狂気の刻印の基準を知りそこから何とか免れ得たのは――ニーチェとフーコーと榎並・三橋を読んだお陰.そんな実用書的読み方は著者たちに失礼で忸怩たる思いがあるが... どうせ誰も読まないだろうけどP.186からの戦争論だけでも読んで欲しい気はする.

○『週刊漫画ゴラク 8月3日号』(日本文芸社 2012)
 たまたま山手線の座席で拾ったからだがゴラクを読むのは何年振りだろう... 超長期連載――「ミナミの帝王」「天牌」「SとM」「白竜」「江戸前の旬」「銀牙伝説WEED」「酒のほそ道」「極楽シアター」等――の多さに先ず驚き次に『少年ジャンプ』で死んだ筈のドーベルマン刑事が「新・ドーベルマン刑事」として蘇っていたり かざま鋭二が自作のゴルフ漫画「親玉'S(マスターズ)」を描いているのにへぇっと思った.メイン読者をオヤジ層に設定している所為かエロ度の高い作品がやや多いが比較的新しい連載群を含めて扱うジャンルは万遍無い.正しいマンネリズムを貫くゴラクは侮れない.

ライヴ
7.14渋谷O-Nest「円盤夏祭り」
  ○EPPAI 右手でミニキーボードを/左手でヴァイオリンを――弓の持ち手部分を両足に挟んで垂直に立て(何か補助パイプのようなもので固定していたのかも知れない)本体の方を動かす奏法で――弾くと共に足の指先に括り付けたカスタネット/口元のホルダーに挟んだカズーも演奏するワンマンバンド.演目はブリティッシュトラッドやポルカ.楽しい.
 △東京マリーバンド メンバーが7人も必要なのだろうか?
 △三角みづ紀+河端一 三角が朗読する詩はさっぱり響いてこなかったが河端のスペイシーな即興ギターは気持ち良かった.
 △佐藤幸雄el-g,vo+POP鈴木ds 数十年ぶりに観た元すきすきスウィッチの佐藤.覚めた叙情を感じさせる弾き語りは奥田民生が好きな方々にもお勧めできる.
 △triola〜久美オラ ますますアレンジが緻密になった久美オラ(倉地久美夫vo,el-g,ac-g+triola[波多野敦子vn,vo+手島絵里子vla]).倉地楽曲の弦楽アレンジ版は印象が新鮮な今のうちに記録しておくべきだと思う.

7.15西荻窪toki『庭にお願い』上映会+倉地ソロwith吉田悠樹(二胡)
 映画上映はエンドロール前でプッツリ切れて終わったり画質が酷かったりで散々×だったが,その後の倉地ライヴの方は今年観た内で最良○.

7.21仙川せんがわ劇場「JAZZ ARTせんがわ2012」
 19年振りに訪れた仙川はすっかり小洒落た街になっていた.街ぐるみで盛り上げている今年で5回目になるイヴェントらしいが一見の客への説明が不親切で全体像が掴みがたい/料金が高い/劇場の音響が悪い等の不満あり.ちなみに喫煙者に対して厳しすぎる体制にも辟易.
 △倉地久美夫トリオ(倉地el-g,vo+菊地成孔as,pf+外山明ds)
  菊地が精彩を欠いていると思ったら実は高熱でフラフラの状態だった由.そのぶん力が抜けてて良い所もあったがもう一二曲聞きたかったところで律儀に持ち時間どおり終了したのは物足りない.
 ×ペットボトル人間(デイヴ・スキャンロンel-g+吉田野乃子as+デイヴ・ミラーds)
  情緒を排した複雑で速いパッセージを一糸乱れぬアンサンブルでこれ見よがし聞かせるトリオ.こういうのをニューヨーク派って言うの? 知らないけど.ザッパの音楽の一部分をループにしたような一本調子な演奏は巧いけどそれが何っていう感じ.
 △藤原清登トリオ(藤原清登b+ダヴィデ・サントルソラpf+福家俊介ds+巻上公一vo)
  スタンダードナンバーをフリージャズっぽく変奏した楽曲が主.心和む人は和むのだろう.巻上のヴォーカルは多彩なテクニックを擁しているがデメトリオ・ストラトスやコレット・マニーに較べるとどうしても小手先技に聞こえてしまう.
 △坂田明as+ジム・オルークel-g+山本達久ds+高岡大祐tuba
  正しくイディオマティックなフリージャズの典型のような熱演.興奮する人は興奮するのだろうけど.

△7/28三鷹 武蔵野芸能劇場 翠羅臼 作・演出 無人駅公演Vol.2『南北逆曼荼羅』
 この顔触れでオーソドックスな歌舞伎ミステリだったのは意外で楽しめたがミステリとして/芝居としてどうかという点ではギリギリ及第点.観客の期待を煽っておきながらどんでん返しが肩すかしだったのは残念.

△7/29明大前キッド・アイラック・ホール「竹田賢一大正琴即興独弾 当たるも砕けろ 六十四卦の六四上がり溢し」
 竹田のソロの美点はいつまでも老成することのない青さに尽きる.ゲスト鈴木健雄[ホーミ+テープループ]とのデュオでは竹田が遠慮しすぎ.ゲスト木村由[ダンス]とのデュオは噛み合う箇所があるのか理解不能.

 7月10日にロル・コクスヒルが亡くなった.メモによると俺は『PF』誌の依頼により1983年10月3日に法政大でロル・コクスヒル+スケルトン・クルーのライヴ終了後コクスヒルにインタヴューしたことになっている.だが結局雑誌は刊行されず原稿もテープも手許に無くインタヴュー内容も覚えていない.あれは何だったんだろう.勿体ない気がするばかり.

2012.08.05 GESO

タイトル2012/07/01■193 ここ半年間の覚書
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投稿日: 2013/10/05(Sat) 21:34:26
投稿者管理人

○ヤマザキマリ『テルマエ・ロマエ IV』(講談社 2011)
 ノイタミラ版アニメの安っぽさにはがっかりしたが原作は相変わらず面白い.
○『山田風太郎 ミステリー傑作選1〜10』(光文社文庫 2001〜2002)
 刊行中に作者が逝去したことも感慨深いアンソロジー.他の短編集で既読の作品も多いが改めて読むとやはり山風の前に山風なく山風の後に山風なし.世に天才と呼ばれる作家の殆どは実は鬼才異才秀才の範疇だが山風は掛け値なしに天才.第3巻の解説で森村誠一がいみじくも述べているとおり「風太郎作品世界は同業者にとって盗みたい宝の庫」であると「同時に読者を魅了し尽くし、いったん虜にされれば脱出不可能な小説中毒の檻となる」もの.
○貴志祐介『ダークゾーン』(祥伝社 2011)
 ふと気付くと自分は戦隊の「駒」として何処とも知れぬ戦場に居りあるルールに則って敵戦隊と戦わなければならない...という設定は直ちに永井豪『真夜中の戦士』を想起させる.それは作者は百も承知で本作の中で「設定が(中略)まんまそっくり」と言及しているし小説ではフレドリック・ブラウンの『闘技場』という短編がこの種の――異世界でゲーム的な戦闘を強要される――物語の原型であることも説明している.ほかにも奥浩哉『GANTZ』や山田正紀『人藝競馬 悪魔のギャンブル』や作者自身の旧作『クリムゾンの迷宮』(焼き直し?)等連想される作品は多い.つまり設定自体はまるで目新しくない訳だからかなり自信がなければ書けない小説に挑戦した訳だ.古い革袋に新しい酒を入れるのが巧いということ.
△同『悪の教典 上下』(文藝春秋 2011)
 頭脳明晰という割には杜撰な犯行が多いにも拘わらず殆どがバレないというのはご都合主義的だがアスペルガーという言葉を回避したと思われる点を除いて自主規制なしにタブーを描いている点は潔い.下巻の大量殺戮シーン描写を読んでいると往年の『バトル・ロワイヤル』など牧歌的に思えてくる.
△奥泉光『プラトン学園』(講談社 1997)
 『バナールな現象』の続編?PCソフト内世界と現実世界との混淆を文学的虚構で包み込んだ作者得意の「虚構まみれ」メタエンタメ小説だが帯の惹句「クリックから始まる震撼のサイコ・ミステリー」というのはちょっと違うのでは.古い譬えで言えば『スミヤキストQの冒険』+『虚人たち』といった趣で『鳥類学者のファンタジア』『モーダルな事象』といった後の傑作の習作のよう.新聞連載小説だった点が意外.
○皆川博子『薔薇忌』(実業之日本社 1990)
 短編7編を収録.全て芝居絡みのそれ自体が一幕の芝居のような作品の中でこの世ならぬ者たちが当たり前のように行き交う.
△北川歩実『金のゆりかご』(集英社文庫 2001.親本 1998)
△内田百閨w贋作吾輩は猫である』(旺文社文庫 1984.初版 新潮社 1950)
 全篇無駄話.
△村田基『愛の衝撃』(ハヤカワ文庫 1992)
 再購入.もう少し描写力があれば...
△やまだ紫『新編 性悪猫』(ちくま文庫 1990.親本 1980 青林堂)
○『日本探偵小説全集2 江戸川乱歩集』(創元推理文庫 1984)
 中井英夫の解説も○.「化人幻戯」に「ユリゴコロ」を想起.
△折原一『放火魔』(文春文庫 2010.親本『疑惑』改題)
 折原の短編集の中では良い.
○『日本探偵小説全集9 横溝正史集』(創元推理文庫 1986)
 正史再評価.栗本薫の解説も○.
△美内すずえ『ガラスの仮面 48』(白泉社 2012)
 展開は早くなったが手抜きも増えた.
△中山康樹『かんちがい音楽評論 JAZZ編』(彩流社 2012)
 著者自身の勘違いも多い.
△『KAWADE夢ムック ジョン・コルトレーン』(文藝春秋 2012)
 フリージャズへの興味からではなく批評への興味から読んだがハズレ.
○山田正紀『ファイナル・オペラ』(早川書房 2012)
 良くも悪くも正紀様にしか書けない能ミステリ.
○蛇蔵&海野凪子『日本人の知らない日本語 3』(メディアファクトリー 2012)
△ひろのみずえ『首七つ』(大日本図書 2006)
△蒼井上鷹『4ページミステリー』(双葉文庫 2010)
△乙一他『七つの黒い夢』(新潮文庫 2006円)
○木内昇『茗荷谷の猫』(文春文庫 2011.親本 2008)
△『アルテス VOL.01』(アルテスパブリッシング 2011)/△同VOL.2(同 2012)
 いずれも掲載記事は玉石混淆.
○島田裕巳『葬式は、要らない』(幻冬舎新書 2010)
 ほぼ同感.
○牧野武文『Googleの正体』(マイコミ新書 2010)
△村瀬拓男『電子書籍の真実』(同前)
 やや出版社寄りの見方なのはやむを得ないか.
○服部まゆみ『ハムレット狂詩曲』(光文社文庫 2000.親本 1997)
 後味爽やか.著者の早世が惜しまれる.
○連城三紀彦『黄昏のベルリン』(文春文庫 2007.親本1988 講談社)
 国際謀略小説も書けるのね.抽斗多い.
○天沢退二郎『光車よ、まわれ!』(ピュアフル文庫 2008.親本 筑摩書房 1973)
○松田洋子『ママゴト 2』(エンターブレイン 2012)
○清野とおる『東京都北区赤羽 8』(Bbmfマガジン 2012)
○『アレクシア女史、欧羅巴で騎士団と遭う』
 3作目.新作ほど面白いが順番に読むしかない.
△山田正紀『ふたり、幸村』(徳間書店 2012)
 時代小説にマジックリアリズムを導入する試みは面白いが本作では未だ物足りない.
○東陽片岡『コモエスタうすらばか』(青林工藝舎 2012)
 いつもと同じでいつも良い.
○赤江瀑『光堂』(徳間文庫 1996.親本 1991)
 掛け替えのない作家がまた一人逝ってしまった.
△横溝正史『髑髏検校』(角川文庫 2008.親本 1970)
 表題作は竜頭蛇尾だが併録「神変稲妻車]は○.都筑・山風に共通する江戸読本〜講談本の系譜.
○卯月妙子『人間仮免中』(イースト・プレス 2012)
 本人も凄まじいが周囲の人の「優しさ」の方が凄まじい.
○長岡弘樹『傍聞き』(双葉文庫 2011.親本 2008)
 お見事.
○横溝正史『悪霊島』(角川書店 1980)
 遺作.長編は乱歩より巧いのでは.
○田中克彦『差別語からはいる言語学入門』(ちくま学芸文庫 2012.親本 明石書店 2001)
 事なかれ主義と闘う言語学者はウヨクよりもトラディショナルでサヨクよりもラディカル.文学自体を差別的な存在と思わせるに至るラディカリズム.
○連城三紀彦『ため息の時間』(集英社文庫 1994.親本 1991)
 巧緻な小説を書く他の作家と較べて鼻につかない理由の一つは知識や情報をひけらかさないことか.
雑誌類略.

映画
○レフ・マイェフスキ『ブリューゲルの動く絵』(2011 波・瑞)
 ブリューゲルの『十字架を担うキリスト』(1564)を「実写化」した怪作.イエスがゴルゴタで処刑される――復活が描かれないのは本作が宗教映画ではないという表明か――1世紀前半のローマと異端者が虐殺される16世紀半ばのフランドルが重ね合わせて描かれる.ブリューゲルが風車番に合図して風車が止まると同時に時間も止まるという場面――あんたらはクロノスか?――が特撮ではなく出演者「ほぼ」全員――馬はずっと尻尾を振ってたし指先で演技してる役者もいた――が動きを止めて演じているところがアナログで良かった.シャーロット・ランプリング(聖母マリア)もルドガー・ハウアー(ブリューゲル)も年齢相応に老けてた...

△園子温『ヒミズ』(2011 日)
○平野遼『ホリデイ』(2011 日)
○武内英樹『テルマエ・ロマエ』(2012 日)
△入江悠『SR3 ロードサイドの逃亡者』(2012 日)
×フェデリコ・フェリーニ『8 1/2』(1963 伊)
 フェリーニってどこがいいんだろう.ニーノ・ロータの音楽が無ければ観るに耐えない.
○篠田正浩『夕陽に赤い俺の顔』(1961 日)
 再見.DVD化希望.
○岡本喜八『殺人狂時代』(1967 日)
 三見.天本英世カッケー!
○スティーブン・ダルドリー『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』(2011 米)
△マーティン・スコセッシ『ヒューゴの不思議な発明』(2011 米)
 映像は良いがシナリオは散漫.
△ティム・バートン『ダーク・シャドウ』(2012 米)
 異形を演じるデップはいつも楽しそう.

DVD
○ピエール・コフィン+クリス・ルノー『怪盗グルーの月泥棒』(2010 米)
○園子温『冷たい熱帯魚』(2010 日)
 グロの徹底ぶりが爽やか.
×常田高志『タケオ』(2011 米)
 ダウン症のドラマーを描くドキュメンタリーだが主役を持ち上げる演出が過剰.
△大曾根辰夫『七変化狸御殿』(1955 日)
 有島一郎の怪演が楽しい.
○マリア・ホルヴァット(『ハンガリアン・フォークテイルズ』(2002 洪)
 まんがハンガリー昔ばなし.
△ピンク・マルティーニ『DISCOVER THE WORLD』
 コンサート・ライヴ.嫌いではない頽廃音楽.
○ニールス・アルデン・オプレヴ『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』(2009 瑞)
△ダニエル・アルフレッドソン『ミレニアム2 火と戯れる女』(2009 瑞・丁・独)
△同『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』(2009 瑞・丁・独)
 2,3も工夫を凝らして飽きさせないもののやはり1作目がベスト.先に映画を観てしまったが原作を読まねば.

CD
○五月みどり『青春傑作集』(2011 日)
△ウォルフガング・ダウナー『FREE ACTION』(1967 独)
△ピンク・マルティーニ『Splendor in the Grass』(2009 米)[邦題『草原の輝き』].
○カン『The Lost Tapes』(2012 米)
 1968〜1975年の発掘音源3枚組.サンパチオープンリールテープのパッケージを復元した箱入り/縦25cm×横26cm×24ページカラーブックレット付きで2.637円.安すぎる!というか,邦盤って高すぎ.

ライヴ
△1.22六本木スーパーデラックス 倉地久美夫トリオ
△3.17新宿K'sシネマ 倉地久美夫ミニライヴ
3.18高円寺円盤
 △柳家小春・○倉地+柳家
4.29高円寺彦六「魂の密会」
 ×大谷氏・○竹田賢一
△5.4新宿裏窓 西村卓也ソロ
△5.5新宿裏窓 竹田賢一ソロ
△5.6新宿裏窓 鈴木健雄ソロ
○6.2国立アトリエダダ 蜂蜜劇場『不屈の民』
6.9吉祥寺FoxHole
 △triola・△倉地ソロ・△クミオラ(倉地+triola)
6.10池袋MusicOrg
 ○吉田悠樹+ジム・オルーク+山本達久・△倉地ソロ・×倉地+山本+吉田+オルーク.

2012.07.01 GESO